“東洋の神秘"ザ・グレート・カブキ自伝は人生の教科書だった。

Publish2014/12/02(火)

先日、プロレス仲間の坂本さんのブログ「『”東洋の神秘” ザ・グレート・カブキ自伝』を読みました」を読んで、非常に興味を持ったので、「“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝」を購入して読んでみました。
読んでみて思ったのは、この書籍は「人生の教科書」だなという感想でした。
世界で活躍した伝説的なレスラーだからこそ見ることができる視点で書かれているのですが、話の内容はどのような仕事をしていても、どんな人でも共通する「本質」を捉えている書籍だったと思います。
最初に言っておきますが、この記事は長いです。
また、書いた後に見直しますが、書いている途中で熱くなってしまう危険性が非常に高いので、自分視点での解説が多くなると思います。
そういうものであるという前提で読んでみてください。

プロレスの試合とシンプルイズベスト

まず、書きたいのはカブキさんが考える「シンプルイズベスト(カブキさんはそう書いてないけどこっちが勝手にそう解釈しています。)」がとても物事の本質だなと思った事について。
書籍の中でカブキさんは以下のようにおっしゃられています。

俺が思うに一つの試合で一度飛べばそれで充分なのだ

これは、プロレスにおける試合の組み立て方のカブキさんの考え方であり、美学でもあるのですが、最近の試合は特に派手な技を多用する傾向がある事に対する警鐘です。
プロレスというのは、どうしても見た目が派手なものに目を奪われがちで、レスラーもお客さんが盛り上がる派手な技を使いたがる傾向にあるそうです。
でも、実際にはストーリーとリアリティが重要で、地味な技を積み重ねたり、理にかなった攻め方をする事で試合に説得力が生まれ、結果として完成度の高い試合になっていくという部分が素晴らしい考え方だと思うんです。
似たような表現として

格好だけ派手なレスラーは、興味を持たれてもすぐに飽きられてしまう。どんなに派手な格好をしていようが、重要なのは試合の中身なのだ。

ともありました。
これらに共通するのは、よりシンプルに分かりやすく、複雑にしない事がお客さんの満足度を向上させる方法だという点です。
安易に見た目の派手さを重視して中身をおろそかにしたり、派手の技の多用をするといった事をしないようにする必要性を感じます。
仕事の事に当てはめて考えると、文脈も考えずに派手なものを並び立てたり、誇張した表現の表現をしたりといった身のない行動をするべきではないという事でしょう。
きちんと中身がお客さんにとって必要とされているものか、満足できる内容なのかどうかを突き詰めていくという事が大切だと思うんです。

どんな仕事でも受けるという心意気

書籍の中でカブキさんは

どインディーだろうが、地方のご当地プロレスだろうが、メジャー団体だろうがオファーは受ける

と書いておられました。
これはすごく驚いたという事もありますが、カブキさんの懐の大きさというか人間的なデカさを感じてますます尊敬の念を抱いています。
カブキさんクラスのレスラーになれば、現役を退いたとはいえ「仕事を選ぶ」事はできるはずですが、あえてそれをせず来るものを拒まない姿勢というのはすごい事だと思います。
このような「初心を忘れず傲り高ぶらない」姿勢を貫くというのは並大抵の事ではありません。
普通は調子に乗ったり、天狗になったりして、自己評価が先行して自滅するというパターンになりがちですが、さすがに世界のトップにいた人はそこが以下に無意味で危険な事であるのかを理解されているのでしょう。
この姿勢は見習わないといけないと思います。

練習や基礎などの部分について

カブキさんは、プロレスにおける練習・基礎力についてこのように考えておられます。

若い頃はいろいろなレスラーの試合を見て学び実際に戦って肌で覚えていった。料理も同じで、とにかくやってみて覚えるしかない

実践からの叩き上げならではの説得力がありますね。
「まずやってみる」という事の大切さを教えてくれていると考えるべきでしょう。
練習こそが成功に至る最良のプロセスであり、そこが抜け落ちていると机上の空論でしかないという事です。
自身の力をつけるには、やはり実践・経験を積み重ねるという地味ですが一歩一歩確実にステップアップしていく事が重要だと思います。
また、こうも書いておられます。

受け身にしても基本を身につけたら「どうすれば、より見栄えのいい技になるか?」と自分で考え、工夫していかなければならない。

これは深いです。
プロレスでは攻撃と受け身があり、攻撃の方が見た目的にすごいと受け入れられがちですが、実際には優れた受け身がなければ攻撃はどんなものでもしょっぱくなってしまいます。
(しょっぱいというはプロレス用語なんですが、いけてないやしょぼい、大味というような意味になります。覚えておくと便利なので覚えましょう。)
僕の尊敬する16度の世界王者リックフレアーは「ホウキとプロレスができる」という事でも有名です。
相手がどんなにしょっぱくても、何もできないホウキですら、しっかりと試合を組み立てる事ができるという最大の賛辞なのですが、それくらい受け身は重要です。
ちょっと話がそれましたが、要するに受け身の基本ができても、それに満足する事なく、高みを目指して日々試行錯誤を続ける事が大切だと教えてくれている訳です。
受け身におわりはなく、常に検証と改善を続ける事の重要性を教えてくれているのです。
仕事面で考えてみると、サイトを作っただけで終わりにするのではなく、実際に更新してリアクションを見て変更、そのリアクションを見て変更していくというような流れを作る事が大切だともいえるでしょう。
日々之精進です。がんばります。
そしてその改善のループを行う際にも、以下のような考えをしておくことが大切だとも教えてくれています。

使える技を制限されているからこそ、観客が沸くような試合の組み立てを覚えられる。俺は今でもそうだと思っている。

これはアツイですね。
少ない選択肢で、どうやって試合を組み立てるか。組み立てるだけではなく、しっかりと観客を湧かせるような構成にするのか。
その解決のヒントは「派手な技を追加する」というような事ではなく、同じ技数という制限の中で想像力を働かせる事で、バリエーションを増やしストーリーを作るという思考を身につける事ができるという事だと解釈してます。
無理して背伸びせず、今ある資産を工夫して活用する思考を身につける事。これこそが自身の力を高める最良の方法だと思います。

業界における自分のポジションの把握、客観的な視点を持つ重要性

カブキさんの日プロ時代の立ち回りのお話や、馬場さんや猪木さんとご自身の違いについてなどの下りはすごく自分が世間でどう見られるどう評価されているのかを客観的に見ているという事に気付かされます。
書籍の中にこのような一文があります。

繰り返しになるが、プロレスというのは自分の立場をしっかりと理解することが重要だ。

これは、自分がどういう立場にあって、何をするべきなのかという事ができている証拠でもあります。
自分が何者であり、何をするべきなのかが分かっているのかどうかは、仕事においても人生においても判断の基準を持つ上で非常に大切な事です。
その事を頭に入れて日々を過ごすことにしましょう。

相手の気持ちを考え、臨機応変に行動するという事。

また、カブキさんは「一流のレスラー」に必要な条件を書いてくれています。

また、プロレスというものは、相手と試合をしながら、観客も意識することを忘れてはいけない。

一流のレスラーは、その会場のお客さんが何を望んでいるのかを一瞬で判断し、その望みをコントロールするする事ができると思います。
試合途中で、想定していた流れに固執するのではなく、その時の状況を判断して何をするのかを変えていく姿勢こそが重要かと思います。
あらかじめ決まった予定であれば、そちらを優先させたくなるのが人情ですが、大切なのは決めたルールを守る事ではなく、その状況に合わせて臨機応変に対応するという事でしょう。見習わないといけませんね。

説得力について

カブキさんは書籍の中で、往年の名レスラー達を振り返ってこのような事を書かれています。
カブキさんだけではなく、他のレジェンドレスラーの方々の話も非常に興味深いですし、そのひとつひとつの話がとても理にかなっています。

ザ・デストロイヤーについて

足4の字固めが必殺技だったから、彼は最初から相手の足を中心に攻めてくる。足を攻めて攻めて攻めまくり、トドメのフィギュア・フォー・レッグロックに入るから、観客はそのフィニッシュに納得するのだ。

当時活躍していた「ザ・デストロイヤー」は必殺技が足4の字固めなので、その技の説得力を増すために相手の足ばかりを攻める形で試合を構成していたそうです。
試合に「説得力を出す」ための模範的な試合の組み立てですが、構成としては非常に地味ですのであまり最近ではこういう形の攻めを見る事はありません。
しかし、見ているお客さんに説得力のある試合の組み立てになり、安心してみていられる試合になる事は間違いありません。
大切なのは見た目の派手さではないという好例でしょう。

天龍さんと阿修羅原さんの龍原砲について

相手を潰すように攻めながら、それでいて最終的には相手の持ち味をしっかりと引き出す。龍原砲は、そのバランスが絶妙だった。それが攻め一辺倒の長州たちと違うところだ。

試合の組み立てとして、バシバシ攻める天龍さんと相棒の阿修羅原さんのスタイルの話のくだりも最高でした。
試合のバランスとして一方が攻め続ける形というのはけっこうありますが、一方的に攻めつつ、かつ相手の持ち味を引き出すレベルの試合構成ができる天龍さんのコンビに対するカブキさんの尊敬の念が感じ取れます。
引き合いとして出された当時の長州さん(ずっとそうだったとは書籍の中でも言ってませんので、そこは書籍を読んで確認しましょう。)はその対比として適役なイメージです。
共存共栄の精神というか、相手あっての試合であるという事に対する尊敬の気持ちを感じます。

英語の学習方法について

ここまでプロレスの話でしたが、海外での生活を何年もされていたカブキさんならではの、「英語の学習に対する取り組み」も非常に参考になります。
書籍の中では、

ただ、この件に限らず、最初は英語がなかなか覚えられなかった。だから、時間があるとホテルのテレビで子供向けのアニメ番組を観たりした。出てくる単語が簡単で覚えやすいからだ。

という方法を紹介されてました。
これから英語にきちんと向き合いたいと思っている人は多いと思いますので、カブキさん流に海外の子供向けアニメからはじめるというのはいいかと思います。
僕もまずは内容を知っているポケモンあたりからはじめるとよさそうだなと思っているので、やってみようと思います。

創造性とはなにか

また、カブキさんのアーティストとしての考え方というか閃きを実現する能力というか、その辺の話も最高でした。
この創造性に関する部分は主に「毒霧誕生のエピソード」の部分が多いのですが、これは去年書いたプロレスはUXだ!にもあるようにカブキさん本人からお聞きした内容と全く同じでした。
当然といえば当然ですが、改めて文字で読み直す事でご本人のセリフで変換されて僕の頭の中で再生されます。

すると、俺の噴いた水をライトが照らして虹のようにキラキラと輝いているではないか。その瞬間、俺は「これだ!」と思った。

毒霧誕生のこの瞬間のエピソードはやはりとても素晴らしいです。
本当の意味での創造性というのはこういう事を言うんだと思います。
アイデアを実践してクオリティをあげる。アイデアにアイデアをプラスして、違った形のアイデアに広げていくなどの切り口は、全ての創造性を必要とする職業の人に通じる根本的な部分ではないかと思います。
毒霧をただ吹き付けるだけでは世界で通用しなかったかもしれませんし、何よりお客さんが見て一番美しく映えるポイントがどこなのかという事を突き詰めていったからこそ、毒霧がインパクトを与えカブキさんのキャリアをよりいっそう高いレベルに引き上げる原動力になったのではないかとも思っているので、この話は常に頭に刻み込んでおく必要のあるお話だと思います。
また、試合中に起こったアドリブのくだりも最高に創造性が高く、独創性に富んでいます。

そして、額から噴き出した血を自分の手で受け止め、それを口に含んで毒霧のように噴射してやった。すると、俺の血はまるで血煙のようにリング上を舞ったのだ。

まさにファンタスティックオリエンタルですね。
海外の人がドン引きするような凄惨な状況だったようなので、凄まじいインパクトを与えた事は間違いありません。
しかも、これがその場で思いついて実行したという事に驚きを隠せません。
自分の商売道具ともいえる毒霧をアレンジし、違った形のグレートカブキを見せる事ができるという、可能性をお客さんに見せた訳です。
チャレンジ精神を忘れず、新たな道を切り開くための実行力は見習うしかないでしょう。
誰にでもできる事ではありませんが、失敗を恐れずチャレンジしてみるという事を忘れないようにしないといけないかと思います。
お客さんを飽きさせないための工夫として、カブキさんは以下のような事に気をつけていたそうです。

衣装にしても、同じ場所で同じものを着ないようにしていた。忍者の格好をして出てきたら、次に来た時は連獅子と俺はコスチュームをその度に変えていた。

これには恐れ入りますね。
これまで見た人の期待をいい意味で裏切るというか、常に何か新しさを感じる事ができるワクワク感とか考えたら楽しくて仕方ありません。
カブキさんのように見た目のインパクトが強いという事は、逆に言えば「飽きられやすい」可能性もあるわけで、その部分でのマンネリ化を起こさないための対応だったと思うのですが、ここまでの配慮をされていたら当然試合の組み立ても毎回異なるでしょうし、見る人の満足度も非常に高いと思います。
常に創意工夫を行うという部分は、毎回同じような仕事をしている場合に必要なアイデアではないでしょうか。

まとめ

といった感じで、やっぱり長くなりました。
ある程度まとめようと思って少しは減りましたが、基本的にこの書籍がものすごく面白いのでこれ以上まとめる事はできません。
本当はもっと色々な部分書きたいですが、きりがないのでどうしてもという部分だけにしました。
それでも十分に長いですが。
なんにせよ、この書籍は本当に素晴らしいですね。
プロレスの話が多いので、プロレスが分からないと厳しい部分もありますが、プロレスファンであれば全ての人が読んで悔いが残らない書籍だと思っています。
まだ読まれていない方はぜひ。

記事の著者:ふにすでぐち

ふにすでぐち

1978年生まれ。企業のWeb活用をテーマに、Web運用を中心とした戦略的な企画立案、サポートやホームページ/Webサイトの構築などを行っています。
5年間のWeb制作会社勤務後、2年間のフリーランスで「フニス」として活動後に法人化し、2012年7月「ふにす株式会社」を設立。
Web運用の情報や考え方などを発信するブログ「ふにろぐ」を定期的に更新し、情報配信をしています。
また、Googleアナリティクス認定資格を取得しているので、アクセス解析を用いた分析などの手法でお客様のホームページの成功をサポートしています。
本社のある大阪府高槻市で「ふにすWeb相談所」を開設し、
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