Web活用の実例:よくある質問を作って運用するの巻
Publish2014/11/14(金)
今日はWebを事業に活用する際の取り組みの一例として、「よくある質問」というコンテンツについて考えてみたいと思います。
よくある質問を作る意味と効果
まずよくある質問を作る前に、作る目的とその効果を考えます。
何の考えもなしに増やすというのは無駄な作業を発生させてしまうだけでなく、誰にとっても幸せになれない結果を産むだけなので前提部分を考える事は大切です。
まずは作る目的。
会社によって目的は異なるかと思いますが、ありがちなものとしては以下のような形でしょう。
- 同じお問い合わせが何回も来ているから、まずよくある質問で見てもらおう
- 質問に対する応対のコストがかかっているので、軽減したい
会社として、よくある質問に答えを用意する事でこれらの作業から開放されたいという目的はあるでしょう。
ただし、ここで考えないといけないポイントがあります。
それは、「このコンテンツは本当は誰のためにあるコンテンツなのか?」という事です。
ここを考えないと、その効果が間違った方向になるので注意しましょう。
ユーザー目線という意味を考える
まず、この「よくある質問」が会社側の視点に立ちすぎていないかという事を考える必要があります。
上記で考えた作る目的は、基本的に会社目線での話です。
結果的にユーザーにとって有益な情報になる事はありますが、それは意図した効果ではなく結果的にそうなっているだけです。
作るにあたって、会社側からの視点も必要ですが、基本的には見てくれるユーザーが何を望んでいるからそのページが必要なのかを考え、その文脈に沿ってページを作っていく方がユーザーに優しいのではないでしょうか。
そこで、よくある質問を見るユーザーの気持ちを考えてみましょう。
歯医者さんを探しているAさんの場合
ここでは考える際の例として分かりやすいように「Webで歯医者を捜しているAさん」のストーリーを考えてみます。
前提として、どういう形でサイトにたどり着いたのかという導線部分はすごく重要になるのですが、そこをあげると長くなりすぎるので不本意ですが端折ります。
例えとして「高槻市 歯医者」のようなキーワードでGoogle検索からサイトに行き着いたという事にして話を進めます。
なお、以下のストーリーは僕が勝手に考えた仮想のストーリーです。
サイトに訪れたAさんは、歯医者の地図を確認します。
「高槻市 歯医者」というキーワードで調べているので、その歯医者さんが「自宅から近いかどうか」を確認します。
場所を確認した後は、診療時間か空き状況を確認します。
自分の都合のいい日に行けるかどうかを確認するわけです。
そして最後に電話もしくはメールフォームで診療の予約をします。
ここではおそらくメールではなく状況確認の意味を含めて電話でお問い合わせをしてくるでしょう。
サイトを見た時のストーリーとしては基本的な流れはこのくらいです。
ここにはよくある質問は登場してません。
ですが、それぞれのポイントでAさんが不安に思うポイントがあります。
以下が考えられる不安点です。
- 住所は分かったけど、少し遠いので車でいこう。駐車場はあるかな?
- 駐車場ない場合はどういう風に行けばいいかな?
- 診療ができる日をあらかじめ確認できたらいいな
- 診療費用はいくらかかるんだろう?
- 保険は適用されると思うけど大丈夫かな?
- 適用された場合は何割負担になるのかな?
といった事が考えられます。
要はこの「不安に思っている状態」が解決できる内容をサイトに掲載しておけば、お客さんが安心してお問い合わせをしてくれる準備が整うわけです。
そして、その副次的な効果としてよく聞かれる質問をサイトに掲載する事にもなるので、会社側の目的も実現できるわけです。
会社視点からすると逆説的な形になりますが、ユーザー目線で優しい情報の掲示が結果的に会社への信頼感をアップさせ、自分たちのコストも削減できるという二重のよい効果を実現できます。
ページを追加する事だけがコンテンツの形ではない
さて、これで想定したよくある質問がまとまったのでサイトに公開するとします。
よくある質問のページの効果でお問い合わせ数も増え、お客さんの満足度も上がってきて、目的が達成できたとしましょう。
ここで、「よかったよかった」で終わるのではなく、さらによい結果を得るためにページを充実させていく事が必要です。
サイトの強みである「更新」をする事で、さらにお客さんが便利になり、会社も幸せになれる事ができるようになります。
例えば、よくある質問の場合だと、年月の経過によって答えの内容が変わったり、追加する項目が増えたりなどしてくるのが普通です。
ブログのように「記事を追加していく」という事だけが更新ではないので、すでにあるページの内容を拡充し、変更していく事で「より親切に」「より効果的」に改善していきましょう。
改善を行う際には、基準として「Rule of Three」を導入する事でより具体的に業務の中に更新作業を組み込んでいく事ができます。
Rule of Threeとは?
「Rule of Three」は分かりやすくいうと、「3回同じ事があったら検討の対象になる」という意味です。
例えば同じような質問がよくある場合、どこかのタイミングでよくある質問に追加する必要があるわけですが、基準が決まっていないので「いつかやろう」という気持ちになり、結果更新されずに放置されるということが起こります。
「Rule of Three」を導入する事で、「この質問は同じ事が3回あったから、よくある質問に追加する内容だ」と判断する事ができます。
このように、運用を行っていく上ではある一定のルールを作る事で、運用を行いやすくする事ができます。
ルールが多すぎて窮屈になるのも考えものですが、このくらいの最低限のルールくらいはないと判断が個人に委ねられるので質にばらつきが生まれます。
「Rule of Three」のルールを導入してやってみると、日常の作業に組み込みやすくなるので、よいアプローチだと思います。
また、このルールを実現するためには、よくある質問を普段から集計しておく必要があるので、どういう内容で質問が多いのかという傾向をまとめて確認できるという効果もあります。
都度対応していると次にノウハウが渡せないので、データを収集して有効活用する習慣を付けるという意味でもおすすめです。
更新する際は分かりやすく分類する
よくある質問のページがきちんと運用されていると、結果的に質問の数が増え、ページが情報で埋まっていきます。
その結果、せっかく掲載している情報をユーザーが探す事ができずにページの意味がなくなるという事があります。
正しく運用した結果でそうなってはあまりに悲しすぎるので、ページの情報量が多くなって見づらいと感じるようになる前に、情報を分類してまとめるようにしましょう。
最初に見出しを付けてもいいですし、目次を持ってきてもいいでしょう。
情報にアクセスするための分かりやすい画面の設計を行い、作成したコンテンツが最大の効果を発揮できるようにする事も大切な作業です。
これらの事をしていくのは、こうやって書いている分には簡単に見えますが、実際にはすごく大変な作業です。
ですが、この作業をしなければずっと不毛な作業に囚われ続け、効果も成果も上がらない状況になるだけです。
最初少ししんどくても後からめちゃくちゃ楽になるのであれば、そちらの方がいいとは思いませんか?
よくある質問というありふれたコンテンツでも、しっかりと考えて運用する事でユーザーの利益にもなりますし、会社の目的を達成する為の効果も期待できます。
「だれのために」「なんのために」という部分から、今お客様の声ページがある方はページを見直し、まだない方は作るかどうかを検討していただくとよいかと思います。