PTAにおける最適なWeb運用とは何かを考える。
Publish2016/05/18(水)
Update2020/11/25(水)
今日は、最近活動しているPTAでの活動におけるWebサイトの意味や目的、負担のない形で適正に運用するのはどういう形がいいのかということをについて考えたことを書きます。
こういう仕事をしていると、必然的にPTAの中でもWebに関する質問が出てきて、何かしらの答えを用意する必要があるのですが、せっかくなのでこれからPTA活動をされる方にも役にたつ内容にまとめようと思います。
今後のPTA活動に役立てば何よりです。
PTAにおけるサイトの役割を考える前に。
まず、PTA活動におけるWebサイトの役割と位置づけを考える必要があります。
何のためにサイトが必要で、サイトにはどういう機能が求められ、そのためにはどういうツールを使う必要があるのか、そして実際のそのツールを使って誰がどういう風に運用していくのかということを決めなければいけません。
しかし、その役割を考える前に、運用する上での基本的なスタンスを考える必要があります。
というのも、自分のスタンスをはっきりしていないと、必要以上に労力を割かれたり、個人に対する負担が大きくなりすぎるなどの弊害が発生する可能性があるためです。
PTAのサイトを運用する上で決めたこと
今回、この考えをまとめるにあたって僕が決めたのは「自分のサイト制作のスキルが必要となる手段は講じない」という点です。
というのも、仮にサイトを僕が手を動かして作るとなると、それは仕事と同じ位置づけになってしまうためです。
PTA活動は仕事としてしているわけではありませんし、それによって対価を得ているわけではないので、仕事と同じクオリティでは対応しないということを決めています。
仮に、仕事と同じクオリティで対応してしまうということであれば、今僕に対して仕事を発注していただいているお客さんに対しても失礼になります。
なので、PTA活動でWebの運用をアドバイスする場合は、ふにすWeb相談所でそうしているように、実際に自分が手を動かしてサイトを作るというようなことは一切せずに、あくまでアドバイザー的なスタンスで対応していこうという形になります。
ここのスタンスがしっかりしていないと、やることとやらないことの線引きがあやふやになるので、まずはここを決めましょう。
PTAのサイトに必要な要件
では実際にPTAのサイトを始めるとして、サイトに必要な要件は何になるでしょう。
今参加している段階で見えている部分だと、下記がその要件になると思います。
- 役員会や総会、関連行事などの日程を確認できる
- それぞれの行事の詳細内容を確認できる
- PTAの活動報告が行える
- PTAからのお知らせを公開できる
- 配布文書等のダウンロードが行える
- 会長や役員などの紹介、PTAの活動方針などが公開できる
PTA活動では、会議やイベント、会議で決まった文書の発行や会計の処理など多くの活動が必要になりますが、サイトを活用するという点で考えると、広報的な側面での役割と、ドキュメントの保管場所としての役割の2つが大きなものとして考えられます。
次の総会がいつどこで何時からあるのかを確認するのは、サイトに掲載してあったほうが便利だし、発行文書もサイト上で閲覧できれば配布物をなくしてしまったり、見失った場合でも確認ができるので便利です。
また、普段行っているPTA活動のレポートなどを掲載することで、普段PTAがどういう活動をしているのかを知ってもらうこともできるという点も大きいですね。
PTA活動はどうしても学校の中、もしくはその会議の中でだけ進んでいるような形になるので、周りから何をしているのかよく分からないという部分があります。
その部分を公開していくことで、PTA活動に対する理解も高まると思いますし、協力してくれる人も増えるかもしれません。
希望される機能
必要な要件が出たと思うので、次にその要件を実現するために必要な機能は何になるのかを考えます。
機能として考えられるのは以下の点です。
- 無料で活用できる
- PDFなどのファイルをアップロードできる
- 素人でも簡単に変更できる仕組み
- スマホからでも更新できる
まず使用するための費用についてですが、基本的にはサイトに対する予算をあらかじめ組んでいる場合というのは前任者がそういう方向で考えてでもいない限り予算に入っていない可能性が高いです。
予算に計上されているのであれば、その予算内で考えればいいですが、ここでは予算として計上されていない場合のことを考えて、最初の段階では無料で使えるものを考えます。
うまく運用できる形が整えば、次年度に予算を組んで引き継げばいいと思うのですが、まずは無料できる範囲で考えましょう。
ここでいう無料には人件費としてPTA役員の労働力のことは考えられていませんが、先般書いた「自分の手を動かさない」という部分も忘れずに。
機能としては、文書を公開する必要があるので、PDFなどのファイルをアップロードできることは必須です。
また、PTA役員の方全てがサイトなどのWebに詳しいわけではないので、Webのことを知らない(HTMLやcssって何?というレベルの人と考えたほうがいい)人でも更新ができるような仕組みが必要です。
また、ドキュメントはPCで作成するとしても、カメラで撮影した画像をPCに取り込んで活動報告のページを公開するというのも初心者には敷居が高すぎるので、スマホからでも更新ができるような機能も必要です。
ここまで結構欲張りなことを書いてますが、現在はこのくらいの要望をかなえてくれるサービスが多く存在します。
では、それらの要望を実現できるツールにはどんなものがあるのでしょうか。
必要要件から考えられるツール
まず最初に思い浮かんだのが、「WordPress.com」。
WordPress.com
制作業界では色々と話題に上がることの多いWordPressですが、ドキュメントを公開したり、活動レポートを公開する場合にはやはりとても便利な仕組みです。
ただし、WordPressもインストール型を選択してしまうと、サーバーやドメインといった費用がかかってきますし、何よりメンテナンスが大変です。
初心者が安心して使えるかと言われればまず無理だと思うので、サーバーにインストールするタイプは却下です。
しかし、WordPress.comの場合は、システムの保守等はAUTOMATICが行ってくれるので、初心者が手を出す必要がありません。
また、アプリなども用意されていて、スマホから更新を行うことができるという点も大きいです。
また、サイト制作の知識が不要で、簡単に作れるサービスで言えば、「Jimdo」や「Wix」も選択肢に含まれます。
Jimdo
Wix
これらのサービスも無料で、簡単に、スマホからも更新ができるという点をカバーできています。
他にも、AmebaOwnedとかでもいいのではないかなと思います。
AmebaOwned
この辺のサイトを作って運用するタイプのサービスは、それぞれのサイトを見てよさそうなもの、好きな感じのものを選ぶといいかと思います。
また、Webで情報を発信していくという点を考えると、各種SNSも選択肢に含まれてきます。
例えば、Facebookページを作成して対応する例は自治体などでも多く見られます。
Facebookページ
Facebookページは検索にも引っかかるので、サイト代わりとして運用することもできるという点で素晴らしいですが、ドキュメントを管理するのには向いていないので、ノートの機能を活用するなど、少し工夫は必要です。
しかし、普段Facebokを見ている人に向けて広報的な活動を行うという点では非常に優れていると思います。
もちろん無料で利用できるという点も大きいです。
また、情報発信でSNSといえば「Twitter」も候補に上がるかと思います。
Twitter
しかし、Twitterの場合は、リアルタイムや広報的な情報発信にはfacebookページ同様優れていますが、ドキュメントの管理などは完全に別で行うという割り切りは必要です。
また、その場合運用負荷が高くなる傾向もあるので、利用手段としては難しい側面もあります。
なお、個人的な肌感としては、一般の人は特にLINEの使用率が高いので、「LINE公式アカウント」を活用するという方法も考えられます。
LINE公式アカウント
総会やイベントの告知など、相手に確実に届けたい情報がある場合は、LINE公式アカウントのメッセージ送信機能はかなり魅力的です。
無料プランだと月1000件までの送信になりますが、通常の場合そこまでいくということも考えづらいです。
使いどころは難しいですが、PTA会員の方もLINEユーザーは多いだろうということを考えると、メール的な使い方としてメッセージを伝える道具としてのLINE公式アカウントの活用は有効な方法だと思います。
余談ですが、僕が今しているPTA活動ではみんなLINEはしているので、LINEで連絡を取り合うということが行われています。
他の学校のPTAの方に聞いてもやり取りにLINEのグループというのはよくあるようなので、LINEの普及率を考慮しないという選択肢もないかと思います。
運用体制の確保と、年次更新の件
運用するための道具と方法が決まったら、あとはそれを実際に誰が運用していくのかを考えましょう。
ここで大切なのは、誰か一人に押し付けるような形にならないことです。
特に、僕みたいにWebを仕事にしている人だと、「よくわからないから、詳しい人にお願い」と丸投げされる可能性があります。
ここで大切なのは、丸投げされたからそのまま全部引き受けないことです。
仮に引き受けてしまうと、その作業が属人的になり、その人がいないと活動が止まってしまうという危険性も出てきます。
せっかく誰でも簡単に使えるような仕組みを選んでいるので、それぞれの役割ごとにサイトでの情報発信をしていくといいと思います。
最初は難しくても、自分の担当だけしようというふうに決めると比較的操作も簡単に感じるものですし。
なお、PTAには役員選出があるので、それぞれの役員がどういうことの担当なのかは初めに割り振られています。
その役割に沿って選ぶと、決める作業も省かれてスムーズに始めることができます。
また、PTAは基本的に毎年役員が変わるので、次年度への引き継ぎも視野に入れておく必要があります。
引き継ぎ用のマニュアルを用意するとかだと大変になるので、LINEで前年度の役員と本年度の役員のグループを作るなどしておくとスムーズに移行できるような気はします。
ここに関してはまだ経験していないので憶測にはなりますが…。
まとめ
上記のツールを選定するということや、それに合わせてアカウントを取得するくらいであれば、サイトを作るという部分には触れなくて済むので、「自分が手を動かしてサイトを作るというようなことはしない」という目標も達成できます。
PTAでのWeb運用も通常の運用と同じく順序に沿って考えれば、おそらくこの形が最良の選択なのではないかなと思います。
以前のPTAでのWeb活用がどうなのかはわかりませんが、今の時点でもかなり簡単に始めることのできる仕組みが非常に多いことに気付きます。
難しいと思われがちなPTAでのWeb運用も優れたサービスを活用することで、もっと簡単に便利に行えると思いますので、目的に合わせてツールを選んでやってみるとよいかと思います。