無料サービスを使い続けるリスクとデメリットについて
Publish2015/12/10(木)
Update2021/02/19(金)
今回は無料サービスを使うことのリスクとデメリットについて書きます。
このテーマで書こうと思ったのは、記事公開時のニュースでFC2のアカウントが一斉凍結されたというニュースを見たからで、これって他のサービスでもありえることなので、一度まとめておこうと思ったわけです。
ちなみに、今回でいうところの無料サービスの範囲は「無料のサイト作成サービス」「無料ブログ」「無料で利用できるWebサービス」といった「Webで情報を発信できるサービス」あたりを対象としていますので、それ以外の無料のサービスについてはちょっと事情が異なります。
その点をご理解いただいた上で読んでください。
前提は大事です。
無料サービスを使うこと自体が悪いということではない
まず、大前提ではありますが最初にはっきりさせておきたいこととして、今回の趣旨は「無料サービスはやめたほうがいい」ということではありません。
無料サービス自体はすごくいいものだと思っていて、利用することで大きなメリットがあるのであれば積極的に使用する方がいいというスタンスですが、利用する場合はデメリットやリスクもあるということを理解した上で使いましょうという趣旨で書いています。
コストをかけずに(人的コストとかその辺は度外視してという意味で。)「とりあえずやってみることができる」という面で、無料サービスほど楽なことはありません。
例えば、ブログとかでもそうですが、自分たちでサーバーを用意したりシステムを用意したりすることなく、メールアドレスを登録して必要情報を入力すればブログを始めることができるというのはすごく手軽ですし、初心者でもブログを始めることができるという点でもとてもよいことだと思います。
ただ、そこにはリスクも含んでいるので、無料サービスにはどのようなリスクがあるのかを知った上で始める方がよいと思っています。
無料サービスのデメリットとリスク
では実際にどのようなリスクやデメリットがあるのでしょう。
ぱっと思いついただけでこれくらいあります。
- サービスが終了する
- 規約が変わって利用できなくなる
- 自由度が低い
- 広告がつく
- 独自ドメインではない
- 移転や移行が難しいorできない
それぞれについて少し補足します。
サービスが終了する
一番大きなポイントは、やはりサービス終了がこちらの意志とは無関係に起こってしまうという点です。
サービス自体を運営者が継続できなくなって、サービスが終了するという場合ですね。
これまでも無料のブログサービスが雨後の筍のようにたくさん出てきては消えて行きましたし、今は安定して運営している会社でも経営悪化によってサービスを終了させるという場合もあるでしょう。
その時に発生するリスクは、そこで使っていたデータが全て消えるとか使えなくなるという危険性をはらんでいます。
ある程度早い段階で終了することを告知して、サービス終了後のアフターフォローがある場合であればまだましですが、いきなり事前通告なくサービスが突然終了する場合もあります。
その場合、こちらでは何もできずに終了してしまうというどうしようもない事態になる場合もあるということです。
これまでの蓄積が全て消えるというのはあまりにも大きな痛手です。
なので、対策としては「時期を見て自分が管理できる形に乗り換える」ということが大切です。
例えば、無料ブログで一定の成果が出てきたら、そのお金を使って自分でサーバーを借りてそこでブログなりホームページなりを運営するというような方法です。
立ち上げ当初は予算がないという場合でも、この方法であれば無料サービスを賢く使っていると思います。
規約が変わって利用できなくなる
サービスが終了しなくても、規約が変わってサービスから強制退会させられるという場合もあります。
今回のFC2のアカウント凍結の騒ぎもこの辺が関係しているのではないかと思うのですが(詳しいところは知りませんので憶測です)、たいていの場合サービスの利用規約に「規約は運営者の都合で自由に変更できる」というような旨の内容が書いてあるかと思います。
これをしておかないと何かあった時に打つ手が狭くなったり無くなったりすることになるので、表現は違うかもしれませんが、運営側はほぼ同じようなことを書いています。
この場合も事前通告があればいいですが、事前通告なしで解約させられることもありますし、それを規約で書かれていたら利用者側は何もできません。
そういう危険性があるということを知っていれば、サービス終了の時と同様に自分で管理できる場所に乗り換えるという選択肢になるかと思います。
自由度が低い
無料のサービスの場合、オリジナルで変更を加えようとした場合に変更ができなかったりする場合も多いです。
無料のサービスの時点で、決まっているいくつかの種類のテンプレートから選んで使う形になるので、必然的にオリジナリティを出すことが難しくなります。
オリジナルの要素に重点を置くのであれば、無料では難しい場合があるということは理解しておきましょう。
広告がつく
無料でサービスが提供されている多くの場合、広告収入で運営するというモデルが一般的なので、ホームページやブログに自動的に広告が挿入されます。
広告がつくこと自体が嫌であればなおさらですが、そうでなくてもデメリットがあります。
それは、広告で配信される内容はこちらで制御できないという点です。
広告は自動的に配信されるので、競合他社の広告が自社ホームページに入るというようなこともありますし、アダルト系の広告などが会社ホームページに表示されるという可能性もあります。
その場合、ホームページの信用度だけではなく、企業自体の信用が下がる事にもつながりかねない重大な問題になる可能性もあります。
「無料は広告がつくもの」という事は把握しておき、その前提で利用するかどうかを考える事が大切です。
独自ドメインではない
無料サービスの多くは、その運営会社が保有するドメインで運用される場合が多いです。
インターネット上でのドメインは住所と同じ位置付けなので、他社のドメイン上で活動するというのは他社という家の中で生活をしているようなものになります。
引越しや移転の時に、これまで頑張っていた評価はドメインに残るので、独自ドメインでやっていないとずっと他人のふんどしで相撲を取っているような状態になります。
最初はそれでもいいかと思いますが、ある程度のタイミングで独自ドメインで運用される方が評価は自分の手元に残ります。
Web上での資産形成を行うという考え方で考えると、努力をしてきた結果の蓄積を他者に委ねる状態ではなく、自分で管理できるようにしておくというのは重要かと思います。
移転や移行が難しいorできない
利用する無料サービスによりますが、無料サービスの中にはホームページやブログ移転、データの移行が規約で禁止されている場合があります。
この場合、そこでこれまでやってきた事の力を持ち出せないという事と同じです。
移転や移行ができないサービスはよほどの理由がない限り使わない方がいいと思います。
色々なサービスのいいとこ取りをしつつ、うまく無料サービスを付き合おう
無料サービスを利用するという事自体は悪いことではないのですが、信頼しすぎて知らないうちにサービスに依存していたりすると、何かが起こってからが大変です。
依存度が高くならないうちに、自分でコントロールできる場所を用意し、移動しておくというのが最も確実な方法です。
とはいえ、最初からうまくいくという事も難しいので、無料サービスで感覚をつかんで、そのノウハウで自社のコンテンツを運用するというような流れが一番いいのではないかなと思います。
無料サービスはうまく活用することで、多くのメリットをWeb運用にもたらしてくれる可能性はありますし、様々な新しい取り組みをトライアンドエラーで実践できる場所という意味でも非常に便利で貴重な存在です。
ただ、利用にあたってのデメリットやリスクがあることも事実なので、デメリットやリスクをきちんと把握し、いいとこ取りをしてうまく付き合っていきましょう。