妖怪ウォッチ大人気の秘密を考える
Publish2014/05/15(木)
昨日ある方とお話ししている時に、ふと「妖怪ウォッチ」の話になりました。
最近は妖怪ウォッチの話がけっこうどこに行っても盛り上がるので、妖怪ウォッチの人気を感じます。
そこで、僕なりの視点で妖怪ウォッチの人気の秘密を考えてみたいと思います。
妖怪ウォッチとは?
妖怪ウォッチを知らない人向けに説明しますと、妖怪ウォッチは主に小学生を中心に人気が爆発している作品です。
アニメ、テレビゲーム、マンガ(コロコロコミックに連載)、玩具(DX妖怪ウォッチ)、妖怪ウォッチともだちウキウキペディア(アーケードゲーム)などがあり、その他関連商品も続々発売している今乗りに乗っているコンテンツです。
ストーリーとしては、小学生の天野ケータが、ある日見つけた「妖怪ウォッチ」というアイテムで、妖怪が見えるようになり、妖怪と仲良くなり、仲良くなった証として「妖怪メダル」を手に入れていくというものです。
ストーリーは非常にシンプルで、小学生でも分かる分かりやすい設定(ケータが小学生というのも重要なポイント)なのがポイントです。
元々はテレビゲームから始まり、小学生が愛読するコロコロコミックでの連載などで小学生相手に知名度が爆発した印象があります。
テレビゲームから始まったというのも、この妖怪ウォッチを作ったのがゲーム会社の「レベルファイブ」だからです。
レベルファイブといえばレイトン教授で有名で、最近ではイナズマイレブンやダンボール戦記などの作品でゲーム以外にも進出してきているコンテンツの会社です。
なので、過去の作品から培ったノウハウもしっかりと持っているというわけです。
今では、ポスト「ポケモン」の最有力候補というくらい人気があるといっても過言ではないかと思います。
キャラクターがかわいい
さて、そんな妖怪ウォッチの人気の秘密の一つがかわいいキャラクターにあります。
メインキャラともいえる「ジバニャン」は特に人気で、派生系の「ロボニャン」「ワルニャン」「エメラルニャン」「ゴルニャン」「トパニャン」「ダイヤニャン」など、すでに大変な事になっています。
その他にもケータの妖怪執事「ウィスパー(顔芸が得意)」やもんげーという言葉で人気の「コマさん」、お笑い担当ともいえる「人面犬」など、特徴のあるキャラがたくさんいます。
過去の事例を考えると、ポケモンがピカチュウの人気に後押しされて幅広い層に人気を得た事を考えると、ジバニャンが同じように妖怪ウォッチの人気を牽引する存在になる可能性もあります。
人気がでる作品には必ず象徴的なキャラクターがいるものなので、その点も妖怪ウォッチが人気のでている一つのポイントではないかと思います。
小学生受けするギャグ
アニメやマンガを読むと分かりますが、妖怪ウォッチはギャグが満載です。
そのギャグも小学生でも分かる分かりやすいギャグと、明らかに親世代を意識した親からすると「ちょっと懐かしい」ギャグがちりばめられています。
小学生とその親が主なターゲットなので、その属性にピンポイントに攻めてくる戦略です。
伝搬するストーリーとしては、こんな形ではないでしょうか。
まず小学生が学校で妖怪ウォッチのギャグをします。
「もんげー」とか、「コマさんずら」とか、「アイルビーバック」などの小学生受けするフレーズがいっぱいあります。
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その話題で「なにそれ?」と知らなかった子供がクラスで流行っている「妖怪ウォッチ」と接触します。
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家に帰り、妖怪ウォッチをみたり、グッズを購入したいと親にねだる事で、親が妖怪ウォッチと接触します。
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親は子供の頼みなので、妖怪ウォッチについて調べます。
調べると人気で商品が手に入らない事が分かります。
子供の為に必死になって商品を探すうちに愛着がわく、もしくは一緒にアニメを見て知らないうちに親近感を覚えます。
という流れで小学校から始まり、子供を通じて親に人気が伝搬、結果親子で楽しむという流れができると思います。
実に自然に接触し、知らないうちに身近なものになるストーリーだと思いませんか?
ちなみにここから更に小学生以外の兄弟がいる場合は、その舞台が幼稚園や保育園にも飛び火します。
家族層を中心に確実に広まる、とても賢い戦略だと思います。
DX妖怪ウォッチと妖怪メダル(玩具)が面白い
妖怪ウォッチの実物大の玩具「DX妖怪ウォッチ」(ネーミングが直球)は、現在人気のため品薄で非常に入手が困難な状況です。
入手した人は苦労して入手するので、手に入れたときの達成感はかなり高いです。
そして、その商品自体もアニメやマンガで目にするものと同じなので、かなり親しみがあります。
また、妖怪を召喚する時の音や歌なども連動しているので小学生は手に入れたらずっとやっています。
メダルを間違った方向に入れると「そうじゃなーいよ」というセリフが再生されたりといった細かいこだわりも忠実に再現されています。
メダルもたくさん種類があるので、収集する楽しさもあります。
ちなみにこの妖怪メダルの裏にはQRコードが印字されており、ウォッチでそのQRコードを読む事で音楽や歌を再生する仕組みです。
この辺も昔からある技術をうまく取り込んで活用しているところが参考になります。
アニメ公開のタイミングで人気が爆発
元々がゲームからのスタートだったのですが、スタート直後はそこまで人気があるコンテンツではありませんでした。
個人的に「ここがターニングポイント」だと思うのは、やはりテレビアニメが始まってからだと思っています。
ちょっと話がそれますが、妖怪ウォッチが始まる前のアニメの枠はイナズマイレブンとダンボール戦記でやっていた水曜19:00の「あにあに」枠です。
少し早くダンボール戦記が終わって、その後に始まったのが妖怪ウォッチです。
このタイミングが絶妙だったと思うんですが、ダンボール戦記のファンは習慣である程度妖怪ウォッチを目にしますし、イナズマイレブンのファンはイナズマイレブンからの流れで妖怪ウォッチを見る事になります。
元々この2つの番組をセットで見せていた事により、妖怪ウォッチの初期の露出と認知にイナズマイレブンとダンボール戦記のファン層を活用する事ができます。
そしてこのファン層が「小学生」。
見事なまでにターゲットを絞って効果的に露出している事が分かります。
やはりまだテレビの影響力は強いので、人気が爆発する為にはテレビでの露出も必要です。
ここをかなりうまく展開しているという点は見逃せません。
レアメダルや限定メダル、初回特典などの付加価値商品
そして、露出によって認知が増え、親近感を増したユーザーを確実に取り込むのが「レア」や「限定」、「初回特典」のような付加価値商品の存在です。
妖怪ウォッチも他の色々なアニメ作品の「売れる」ポイントを押さえていますので、メダルにもレアなものと普通のもの、限定メダルや初回封入特典のメダルなどの商品展開をしています。
これによってライトユーザーを確実にヘビーユーザーに変質させ、盤石な人気と収益性の高いモデルの両立をする事が可能になります。
この辺は非常に人間の欲望をよく理解した少し「いやらしい」けどうまい戦略だと思います。
まとめ
このように、普段何気なく見る機会が増えてきた妖怪ウォッチも、どういう背景で人気がでたのか、今後どうなっていくのかなどを考えると非常に楽しいですし、色々と勉強になります。
少し違った視点でものごとを見る訓練にもなりますし、分析する力も増えると思います。
頭を柔軟にして色々なアイデアを出す為にも、これからもこういう一見Webとは関係がなさそうな事についても考えていこうと思います。