電話をやめることによって業務効率がアップし、全てがうまくいくと錯覚していた時期が僕にもありました。
Publish2011/01/28(金)
今日は、過去記事が恥ずかしい内容すぎて顔から火が出そうなので、ほぼ書き直しで電話と業務効率、僕の場合の仕事自体の効率化の錯覚について書いておきたいと思います。
これは自己の反省であるということもありますが、ITが万能であるという思い込みや錯覚など、ITという便利なツールに心酔すればするほど陥りやすい事だと思うので、もし当てはまる事があれば「これって実は違うかもしれないんじゃないか?」と考えるきっかけにしていただければ何よりです。
電話が悪であるような思い込みをする事
まず、正直なところを書きますが、僕は「携帯電話で電話をする」という行為自体があまり好きではありません。
これは、僕が電話にずっと集中するのが難しいという事が理由の一つにあります。
相手の顔が見えていないので、そこに少し油断が生まれて違う事を考えてしまってそっちの事で頭がいっぱいになってしまったり、長時間同じような姿勢でいる事に疲れて集中力が切れてしまったりする事が原因だったりします。
これは完全に僕自身の問題なんですが、どうしても「好きではない」という事が先にあって、その結果その行為自体を避けるようになっているという節があります。
そして、そういう「好きではない」事を無意識に避けているだけではなく、意識的に避ける理由を探していたという事もありました。
そういう時に出会ったのが、メールでありチャットであり、Webであるわけです。
これ幸いとばかりに、「これらを使う事で、電話を使う必要はない。」「電話を使うより効率的なので、電話を使う必要はない。」「つまり電話を使う事自体がナンセンスだ。」という思考になっていた時期がありました。
今思うと愚かだなとしか思えませんが、当時は結構本気で思い込んでいた部分があって、その思い込みをリセットするのに結構時間がかかったように思います。
単純に「好きではない」という事を、「業務効率が下がるしよくない」と理論武装して逃げてただけなんですが、意外と思い込みは強くて大変でした。
業務効率のみを優先させる事によって起こる弊害
思い込む原因になっていた主たる理由は「業務効率を考えたら電話よりメールやチャットの方が効率がいい」というものです。
これは今でも一部はそうであると思っていますが、当時は全てそうするべきくらいに考えていて、非常に客観性を欠いた自己中心的で視野の狭い考え方だったように思います。
前の記事では電話をする事によって起こるデメリットとして以下の点を挙げていました。
- 電話を受けると、その時間は電話で消費される(集中力が散漫になるので他の作業をしても効率や精度は下がる)
- 電話をかけると上記の理由から相手の時間を拘束してしまう
- 作業のペースや時間配分が乱される事で、結果として相手にとってもデメリットになる
- 電話によって途切れた集中力で作業効率・業務効率が下がり生産性が低下する
いろいろ突っ込む点はありますが、業務効率というか、自己の生産性のみを考えるのであればあながち間違いではないようにも思います。
でも、これらの事は単に作業者としてデスクワークをする、決められた事を決められた通りにやるなどの場合では正論のように思えますが、実際に僕が当時からしている仕事では決定的に欠けている事があります。
それは、「業務効率を優先させるがあまり、本来の仕事で最も重要なコミュニケーションの手段を放棄している事」です。
本来仕事とはどういう事なのかと考えてみる。
具体的にどういう事か書きましょう。
こういう時はそもそも論で考えるのがいいんですが、「そもそも、仕事とは本来どういうものだったんだろう」という原点に立ち返ってみる事が重要です。
僕の場合、その当時はフリーランスのWeb制作者だったので、「サイトを作って納品する事」が仕事であると勘違いしていた節があります。
確かに一部としてそれは正解ですが、本来お客さんが「なぜ」僕に仕事を依頼して、「どのような」結果を期待していたのかという事を本当に考え抜いていたかというとそうではありませんでした。
当時の僕は「お客さんの要望をかなえ、それを実現する事ができるサイトを作る」と考えていましたが、お客さんからすると「Webサイト」という成果物はあくまでその一つの形であり方法にすぎません。
本当に望んでいた結果とは「ビジネスとしての成功」であり、それは「店舗に多くのお客さんに来てもらう」事や、「サイトを利用して会社の宣伝になって求人や取引先との関係性が良くなる」など、サイトができた後の事が主題なんですよね。
でも、当時はそこまで考えていなくて、目の前の課題を解決する事だけしか見えていなかったわけです。
だから、「サイトを作る」という過程を最優先し、それを阻害する「電話」を排除した。そう考えています。
「電話をする事が業務効率を下げる要因です」と恥ずかしげもなく言えていたのは、そういう自分中心な考えた方の産物だったと思うと吐き気がしますし、過去の自分に懇々と説教をしたいくらいです。
状況と場合に応じて柔軟に使い分けて対応する事がいろいろ考えた結果一番重要だという自分なりの結論。
そんな事を考え続けていて、僕なりに現時点で出た結論は、ふわふわしてますが「状況と場合に応じて、ツールや手段を柔軟に使い分けて対応する事」が一番重要だと思います。
その状況においての優先順位を決めたり、その時にどういう対応をするのがベストかというのは正解が決まっているものではないので、その時々で状況判断をして決断するのがどう考えてもベストだとしか思えません。お話を聞く機会を作っていますが、それは実際にお客さんが思っている事やその雰囲気は実際にその場所で顔と顔を合わせて話をしないと伝わらないからです。
チャットやメールは確かに便利です。
忙しい時の合間の時間に連絡を取ったり、直接会う事ができない距離がある場合に連絡を取るなどのメリットはすごくあります。
実際に現時点でこれらのツールを使わないという選択肢自体がありえない決断でもあります。
なので、それらが電話の事を悪であると思っていたように排除するのも間違っています。
顔を合わせて話をする、電話で自分の言葉を伝える、メールで具体的な変更の要望を伝える、チャットでリアルタイムに状況を改善していくなど、それぞれのツールや方法に向いている向いてないという特性があります。
それらの特性を理解し、状況に合わせて最適なツールや方法を使用して対応していく事が何より重要であり、その柔軟性が新しいアイデアを生んだり、ビジネスを加速させる原動力になるとも思います。
それらの考えを踏まえて、自分なりのベストを探す。
とはいえ、ツールの向き不向きと自分の好き嫌い、業務効率とコミュニケーションのバランスなどはその人によって正解が違うとも思っています。
前述したように僕は電話が苦手です。
苦手なものだとやはり効果を最大限に出すという事が難しいという側面もあります。
やはりチャットやメールでできる範囲はしたいとも思います。
しかし必要と判断すれば実際に出かけて行って直接話すという事や、苦手だからといって電話を避けるというのも違います。
苦手である事を受け入れた上で、それでもなお今何がベストなのかを判断する冷静さは持っていないといけませんし、そのバランスが保てなくなると仕事として成立しないでしょう。
自分も相手も、成果物も結果も、全てを理解してその時にベストな判断をする。
それこそが自分なりのベストであり、自分とお客さんにとっての正解になると思います。