副業禁止規定について思うこと。
Publish2016/07/05(火)
今日は会社で働いている人だと、人によっては切実かもしれない「副業禁止規定」について思うところを書いてみようと思います。
今の僕には全然関係ない話のように思いますが、将来的に人を雇用するようなことになった場合のことを考えると、どういうものなのかを理解しておくことも必要でしょうし。
ということで書きます。
最初に言っておきますと、今回は長いですので目次でございます。
- 基本的なスタンス
- なぜ副業がしたいのか?
- なぜ副業を禁止にしている会社が多いのか?
- 副業をする場合の注意点
- 副業をするメリット
- 副業をするデメリット
- できる会社とできない会社。向いている業種とそうでない業種がある。
- まとめ
基本的なスタンス
まず僕個人のスタンスとしては、副業はありだと思ってます。
なので、仮に今後従業員を雇用することになったとしても(実際そうするかどうかは別として)、副業禁止規定とかは設ける予定もありません。
その理由としては、僕が従業員の立場だったら「副業禁止規定あるから副業したらあかんで」と言われた時に、多分ムッとするからです。
確かに会社に属して働くけど、その活動時間外のことにまで口出しされる筋合いないと思うんですよね。
するかしないかの問題じゃなくて、行動そのものを制限しようとする傲慢さが嫌いというか。
これについてはいろいろな意見あるかと思いますが、従業員の場合の視点として、感情的には理解はできる人は多いかと思っています。
なぜ副業がしたいのか?
さて、そもそも人はなぜ副業をしようとするのでしょう。
僕が思うに、大きく分けて以下の二つの理由だと思っています。
それ以外の理由ももちろんあると思いますが、大半は「お金の問題」か「自己顕示欲・承認欲求の問題」のいづれかの問題でしょう。
お金の問題
まず考えられるのが、お金の問題。
副業をすることによって、会社からの給与以外の収入が得られることを目的とする場合です。
単純に考えて、働いている会社の給料が安いとか、もっと趣味などにお金を使いたいなどの理由がある場合、会社の給料をアップさせるのは難しい場合が多いので、それであれば違うところから収入を増やすアプローチをしようと考えるのは当然の流れです。
副業という時点で、その対価として金銭が発生するので、最も一般的な理由だと思います。
自己顕示欲・承認欲求の問題
次に考えられるのは、自己顕示欲や承認欲求によるもの。
会社からの給料には満足していて、生活にも不満がなくても、「会社で認められていない」というフラストレーションが溜まっていたり、「世界を変えるサービスを作りたい」というような世間からの評価を得たい場合は、金銭にかかわらず人は動きます。
これはマズローの欲求5段階でいう所の「尊厳欲求」「自己実現欲求」にあたる部分で、人間の行動心理を考えても避けて通れない部分です。
参考)マズローの欲求5段階の図
この欲求は人間の根源的な欲求になるので、会社に属しているだけでは不足しますし、会社内での評価や周りの評価に不満があれば、満たされない欲求をを副業で解消しようとするのも理解できます。
この2つの理由で副業をしている人がほとんどじゃないかなと思います。
この理由は結構大きな理由だと思うんですが、なぜ会社はその不満を解決させる方法としての副業を禁止する「副業禁止規定」という手段を使うのでしょうか。
なぜ副業を禁止にしている会社が多いのか?
おそらく、会社で副業禁止規定を定めているところの最も大きな理由は「本業に悪影響を与える」可能性だと思っています。
個人レベルで考えれば、副業を行うことは自分の時間を有効に使うかどうかという問題ですが、経営者視点で言えばいかに個人の時間を自由に使おうが、会社で働く際の生産性などが著しく落ちた状態で働かれるのとかは正直勘弁して欲しいはずです。
例えば、副業にかける時間が過密になっており、そのせいで本業の最中に居眠りをするとかだと、完全にダメですよね。
また、短期的には大丈夫そうに見えても、長期的な視点で見れば多くの時間を仕事に費やすことで従業員の健康面が損なわれていく可能性というのも見過ごせません。
会社によっては、ベストな状態で取り組んでほしいという思いから福利厚生や年間休日を設定している会社もあり、その時間は本業を快適に行ってもらうためだったりもするための投資だったりもするので、それを無駄にされるというのは経営者視点からすると痛い問題です。
今回は副業の話ですが、例えば就業後は自分の時間だからといって朝まで飲み続けて2日酔いの状態で会社に出勤してくるのと心情的には大差ありません。
やるのであれば、せめて本業に影響が出ない範囲にとどめて欲しいと思うのは当然かと思います。
本業に悪影響を与えていないと思われる場合でも、本人は問題なくても、周りに悪影響になっている場合などもありますので、そういうめんどくささから回避するには、「副業禁止規定」を作った方が手っ取り早いということもあるかと思います。
副業をする場合の注意点
副業禁止規定がある会社で副業をするのは基本的にダメだと思いますが、それでもする人はいます。
そういう人たちが、副業していることが会社にばれた場合、注意だけで済めばいいですが、場合によっては会社規則を守っていないので解雇にされる(ベタな言い方で窓際に追いやられるということも含めて)危険性はあるかと思います。
それが法律的にOKなのかNGなのかは判断がつきませんが、会社によっては強硬な姿勢でくる場合もあるでしょう。
仮に副業をしても問題ないということになっている会社であっても、副業はしていいけど会社の備品や設備、取引先を巻き込んだり、社会的な信用の下がる内容の副業をしている場合などは会社をクビになるだけじゃなくて、もっと大きな問題になる可能性もあります。
副業だからなんでもしていいということでもないですし、副業をするのであればきちんと確認をして問題がある場合は副業をしないか別の手段を考えるかする必要もあると思います。
ここまでの時点で相当めんどくさいですね。
でも、そのめんどくささを超えるメリットがあるから副業をするわけです。
従業員、経営者それぞれの視点でメリットを考えてみます。
副業をするメリット
従業員の視点
まず従業員側のメリットとして一番に挙げられるのは「所得が増える」部分です。
前述した副標をする理由の一つですね。
所得が増えれば、自分が使えるお金が増えるわけですし、ローンなどをしている場合は早く返済できるようになることもできるので、メリットとしてはかなり大きいです。
他には、こういう書き方をするのもあんまりよくないですが、仮に働いている会社が倒産するなどして失業することになってしまっても、収入がゼロにならないという点も大きいです。
得られる収入源が複数あれば、どちらかがダメになっても0にはなりませんので、リスク分散という意味でも副業の効果は大きいです。
また、本業以外の専門的な知識や技術を習得することで、つぶしがきく人材になることもできるかもしれません。
自分のスキルを伸ばせば転職市場で有利になることも考えれば、その会社にずっといるということでなければ可能性を探るという意味でもメリットになるかもしれないですね。
経営者の視点
経営者の視点で従業員が副業をする場合のメリットを考えてみましょう。
まず最初に思い浮かぶのが、自由な雰囲気のある会社風土を作ることができるという点です。
今の時代で生き抜いていくためには、優秀な従業員がいかに会社を辞めずにいてくれるかということはかなり大きな課題だと思っています。
GoogleやTwitterの会社の雰囲気などを聞いていると、いかに従業員に快適に業務を行ってもらえるのかということに大きなコストを割いているのがわかります。
従業員のモチベーションは施設や福利厚生なども含めて、会社に対する自由なイメージを持ってもらうということも大切な要素かと思うんです。
であれば、副業も自由にしてオッケーという姿勢を見せることで、自由な社風にしていくことができるという面はあるのではないかなと思います。
また、従業員が副業を通じて得たスキルが本業に活かせる場合などもあるでしょう。
会社外の勉強会に参加してスキルアップをしてくることにも通じますが、従業員の成長のきっかけとして副業を使うということもメリットになるでしょう。
いずれにしても、会社の資産が人である以上、従業員のスキルやモチベーションアップの一つのきっかけとして副業が有効に働く場合もあるかと思います。
副業をするデメリット
メリットだけではなく、同様にデメリットも考えてみましょう。
従業員の視点
従業員の場合は、まず大変なのが時間の確保。
普段会社員として働いている時間以外に働く時間を作る必要があるので、そのための時間を物理的に作る必要があります。
会社がちゃんと時間通りに終わったり、土日の休暇がしっかりある場合とかであればそう難しくないかもしれませんが、そうでない場合は一気に難易度が上がります。
場合によっては、睡眠時間を削ったりすることもあるかもしれません。
睡眠時間を削れば、その分健康面での悪影響が考えられますし、仮にその影響で本業の効率が下がったりした場合は、給料に響く可能性も考えられます。
お金を増やすために行っているのに逆効果になる場合もあるということは可能性として考えておく必要があると思います。
また、副業で何をするのかにもよりますが、「安定した収益になるのか」、「割に合うのか」といった金銭的な不安面も考えておく必要があります。
対価を得るということは、それに応じたリスクを負うことでもあるわけなので、その辺をクリアしておく必要はありますよね。
経営者の視点
経営者の視点から従業員が副業する場合のデメリットを考えた際に最も大きいのは先ほども書いたように「本業に対する悪影響」でしょう。
従業員の自由を尊重した結果、会社での業務がおろそかになって業績が悪化したとかだと笑えませんね。
あとは、従業員のスキルが上がっていくことによって、支払う給与が多くなったりする可能性もありますし、高いスキルを持った人材だと独立する可能性も高くなるかもしれません。
「副業の方が稼げるので会社辞めます」というような本業と副業の逆転現象が起こったりしても笑えません。
そういういろいろなリスクを考えると、やはり経営者から見て副業はメリットよりもデメリットの方が多いような気がします。
だから世の中には副業を禁止している会社が多いんでしょうね。
できる会社とできない会社。向いている業種とそうでない業種がある。
メリットとデメリットをつらつらと書きましたが、そもそもの話で副業には向いている会社とそうでない会社、向いている業種とそうでない業種があると思っています。
できる会社、向いている業界
副業ができる会社というのは、働く時間にあまり制限がない会社とかだと向いているかなと思います。
例えば、独自のシステム開発を行っている会社などであれば元々フレックスで働いていたり、リモートワークで働いている場合とかもあります。
そういう元々自由な働き方ができる業界や会社の場合、副業を行う時間も自由にコントロールできる可能性が高いので、本業に悪影響を与えないこともできるかと思うんです。
ただ、今の世の中でそういう会社や業界は多分そんなに多くないんですよね…。
できない会社、向いてない業界
逆に、こういう会社は向いていないと思うのは、会社で就業時間として働く時間が決まっている会社です。
物理的な拘束時間が決まっているということは、あまり自由になる時間がないという意味でもあります。
会社の終業時間も、おそらくは適切に設定されているはずなので、本業が終わってからの余力もあまりない可能性もあります。
また、残業が多かったりとか、決まった場所に決まった時間に出勤する仕事なども同様に調整が大変そうです。
でも、それって今のこの時代では最も一般的な働き方なんですよね。
もちろん副業で何をするのかでこの辺の向いてる向いてないも変わってはくるでしょうけど、何れにしても副業をするのは結構な準備や調整が必要だと思います。
まとめ:結局会社が魅力的じゃないと根本的に解決しない問題じゃない?
考え方をだらだら書いただけなので、全然まとまってないですが、結論として思うのは「結局会社が魅力的じゃないと根本的に解決しない問題じゃないか」ということ。
金額面や待遇面で満足していれば、副業をする理由の大半はなくなります。
副業をしたいということは、何かしらの理由はあるにせよ、ほとんどの場合で現状に対して不満があるからその解決手段として副業という選択肢を選んでいるということなんですよね。
人の欲望を会社は制御できないと思いますし、会社に対する満足度を上げるのも大変かと思いますが、でもそれを解決しない限りこの問題はいたちごっこだなーという結論でした。
やっぱり思っている以上に難しい問題ですよね。