人はけっこう「なんとなく」で決めている

Publish2024/10/19(土)

人はけっこう「なんとなく」で決めている

今回は、お客さんのサービスのよさをwebを通して知ってもらうようにするためによく考えていることについて書きます。

商品やサービスのPRをするときに、成果ばかりを注視していないか

僕の仕事では、企業の商品やサービスをPRするweb媒体でのプロモーションを行なっています。
その際に、そのプロモーションの成果や目標などを決めて、それに向けた最適なプランは何かを考えて形にしていくわけですが、場合によってはそこが僕のポジションではなく、外部のコンサル会社の方が入る場合という事もあります。
自分でやる時には色々な方面の効果を考えながらするのでいいんですけど、外部の方が考えた企画を実行する場合は、なぜその企画になったのかと言った経緯や、最終的なゴールの設定などが会社によってはわからない状態ですでに動いているという事もあります。
(きちんとプロモーション全体の企画意図や成果の指標を資料で用意してくれる会社もありますが、必ずしもそうではないという意味で。これはいい悪いの話ではなくて、予算面やスケジュールの都合などでそうせざるをえなかった場合などもあるので、コンサル会社が悪い訳ではない)
こういう時に、「この企画の意図はおそらくこうで成果としてはこれだろうな」というのはだいたいわかるのですが、ちょっと成果を出す方向に舵を切りすぎてないか?と不安になることがあるんです。
企業のプロモーションなので、費用をかけて成果を追求することが間違いな訳がないし、結果を出さなければプロモーションをする意味もないので、成果を出すために最善を尽くすというのは正解ではあります。ただ、その企画単体で見た場合にはそれでいいかもしれませんが、企業のイメージ戦略や、これまで企業が重ねてきたブランドイメージの累積などのブランディングに伴う無形資産に悪い影響が出るかもしれないという、中長期的な企業の戦略面が疎かになっているケースだった場合、トータルで見た時にマイナスになるのであれば、それはどうなんだろうなと思ったりするんです。

一方に向けての最適化は、デメリットもあることはわかった上で実行する必要がある

ちょっとふんわりしているのでわかりやすい例で例えると、キッズ向けの商品を親世代に向けてプロモーションを行うとかそういう感じです。
アニメ基調のパッケージデザインが実写のデザインに変更されたとして、子供からするとそれまで好きだった商品デザインが急にあまり好きではない感じのイメージになるわけで、「これならいらない」と拒否される商品になるかもしれません。
実際に購入するのは親なので、子どもには決裁権がないから気にする必要もないとかは全然なくて、そもそも子どもが買いたいと親にお願いするから親はその商品を買うわけで、その商品を選んでいる主体は子どもにある訳です。
一部の親が一時的に商品を購入し、売り上げ目標を達成するという可能性はありますが、その期間にそれまでその商品を購入していた子どものリピーターは離れます。
そして、それまで好きだった商品への愛着は薄れ、あまりどうでもいいものという位置付けに変わった場合、またパッケージを戻しても以前好きだった時ほどの気持ちはない状態になるので、本来の商品ターゲット層の子どもが結果的に離れることになり、商品のブランディングという観点で考えるとマイナスな結果になる事も想定されます。
あと、考えなければいけないことは他にもあって、子どもの時期にそういう印象を持つと、その世代が親になった時に自分の子どもにその商品を与えるだろうか?という問題などもあります。子ども時代に好きだったものの記憶は成長してもけっこう心のどこかに残っていますが、あんまり好きじゃなくなったものの記憶は消えます。
けっこう長いスパンの話なので、そこまで長寿商品になるかどうかとかそういう別の問題もありますが、長く色々な世代の人に愛される商品を目指している場合とかであれば、忘れてはいけない視点だと思うんですよね。
この例の場合はけっこう特殊ですけど、短期プロモーションをするからといって、中長期のことを全く度外視してはいけないと思いますし、中長期をふまえた上での短期間の振る舞いでなければいけないと思う訳です。

最終的には経営判断

と、ここまでは企画を考え実行する側の考えることですが、この問題の最終決定権は経営判断になります。
若干のブランディングの棄損に目を瞑って目の前の成果を取りに行くという判断も、その経営者がそれで問題ないと判断するのであればそれが正解です。
企業の在り方や方針には絶対の正解はなく、あくまで経営者が自身の企業をどうありたいかを考えてその決断を下していくだけなので、それでいいならそれでいいというのがこの問題の面白いところです。
人によっては、それはありえないと考えるところでも、場合によってはそれが正解となる事もあるので。

ただ、最後に一つだけ言っておきたいのは、ここでタイトルの回収に入る訳ですが、人は思ったよりもふんわり決めるし、「なんとなくこれがよさそうだから決めた」といった、特に明確な根拠がなくとも決めてしまうというケースがけっこうあるという事です。
明確に狙い撃ちしたプロモーションを行い、結果の最適化を狙ったことで、逆に「これなんとなくよさそう」と思われていた点が消え、なんとなくで選ばれなくなることがあるので、そこは本当に注意しましょう。
「なんとなく」で決めている場合、その効果はだいたい数字に落とし込めていることがありません。
数値化されていないけど、なぜか今その商品やサービスが支持されている場合、「なんとなく良さそうだから」と思われていることが1番の理由ということもあるので、それも踏まえた上での判断にするというのも大事だと思います。

記事の著者:ふにすでぐち

ふにすでぐち

1978年生まれ。企業のWeb活用をテーマに、Web運用を中心とした戦略的な企画立案、サポートやホームページ/Webサイトの構築などを行っています。
5年間のWeb制作会社勤務後、2年間のフリーランスで「フニス」として活動後に法人化し、2012年7月「ふにす株式会社」を設立。
Web運用の情報や考え方などを発信するブログ「ふにろぐ」を定期的に更新し、情報配信をしています。
また、Googleアナリティクス認定資格を取得しているので、アクセス解析を用いた分析などの手法でお客様のホームページの成功をサポートしています。
本社のある大阪府高槻市で「ふにすWeb相談所」を開設し、
地域の方々に気軽にWebのことを相談できる場所として、より多くのWeb運用の問題解決をするために活動しています。
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