ホームページの運用で失敗しないための制作会社の選び方
Publish2018/11/13(火)
今回は、ホームページの運用が成功するかどうかを決める上で非常に重要な「制作会社の選び方」について書こうと思います。
実際には選び方というよりも、ダメな制作会社と付き合うことになった場合にどう対応すればいいのかという側面での記事です。
なお、今回の文章は少し語調が強いかも知れませんが、ものすごく重要なことなので少し強めに書いています。
また、今回は実際に運用のサポートをしたり、パートナーとして保守管理やコンサルティングをする会社はWeb制作会社が多いので、わかりやすいように制作会社と書いています。
ということで今回の記事では、「制作会社=ホームページの運用を依頼する会社」という意味で書いていますので、その前提で読んでください。
これらの点を予めご了承の上読んでいただければ幸いです。
ホームページの運用が成功するかどうかは、パートナーとなる会社によって大きく変わる
ホームページが成功するかどうかは、依頼者である企業が主体的に成功に向かって行動を起こしていくことが重要です。
ですが、依頼者だけではなく、一緒に成功に向かって歩んでくれる・アドバイスをくれるパートナーでもある制作会社も大きな役割があり、制作会社次第で結果が大きく変わってきます。
どちらが欠けても、本当の意味での成功にはならず、期待している成果を出すこともできないと考えましょう。
そのためには、きちんと成果を出してくれる会社と付き合っていく事が重要ですが、ここがすごく難しいです。
というのも、「きちんと成果を出せるよいパートナーかどうか」は、実際に付き合ってみないとわからない場合のほうが圧倒的に多いからです。
また、会社の業態や業種による得意不得意や、依頼者の思想と運用する側の思想に壁があったりすると他の会社で成果が出せている制作会社の場合でも、思った成果が出ない場合ということもあります。
そんなわけで、自分の会社にとって「この会社は選んでよかった会社だった」と思えるかどうかは、実際に付き合いが始まってからある一定期間が立たないと判断することができないと考えましょう。
制作会社の選び方のポイントなど、技術的なチェックポイントを書いている記事なども多いですが、実際に選ぶ際には制作会社と実際に話していく時に「この人本当に大丈夫かな?」という漠然とした不安とか、直感的な「嫌な雰囲気」などを察知できるかどうかが重要だったりします。
ただ、ここでも注意が必要ですが、最初のときだけうまく丸め込もうとした「口のうまいうそつき会社や営業」も一定数いるので、「この人はいい人そうなので大丈夫かな」というような思い込みも危険です。
また、自分が決めたのではなく、会社の上の人の決定でやむなくその会社との契約がスタートする場合もあります。
この場合、自分としては不本意でもやらざるを得ないわけです。
これらのことを考えると、すごくいいパートナーを選ぶことができるということ自体が運のいいことだとわかります。
言い方は悪いですが、ソシャゲ風にいうと「いい会社ガチャでいい会社を引く可能性はSRを引くくらいの確率」ぐらいの感覚かも知れないです。
なので、いい会社を選びたいと思っているのは当然ですが、実際にはいい会社を選んだつもりだったけど蓋を開けてみると全然だめだったという場合がありえるということをふまえた上で、それでもいい制作会社とめぐりあうためにどういうのがダメなのかを把握して地雷を回避していきましょう。
個人的に感じている「ここはダメだ」と思う制作会社のチェックポイント
成功するためのいい制作会社の条件は色々ありますが、逆に「こういうことを言ってくるのは基本的にダメだろう」という部分を知っておけば、ダメな制作会社を見分けること、被害を最小限に抑えることはできます。
ここでは、個人的に経験した「こういうことを言ってくるのは基本的にダメだろう」という会社や人の特徴をその理由とともに書いていきます。
WordPressの本体のアップデートをしないでほしいという
最近あった中でも、「これはひどいな」と思ったのが、上記のWordPress本体のアップデートをしないという選択肢を強制する会社です。
この会社がWordPress本体のアップデートを推奨しない理由は明らかで、WordPress本体のアップデートによって自分達が作ったプログラムが動作しなくなる可能性があるからというのが理由でしょう。
こう聞くと、一見何も知らない依頼者側からすると「きちんと動作のことを考えてアドバイスしてくれているんだ」と感じますが、実際にはWordPress本体のアップデートをしないことによる弊害を無視し、動作の検証やアップデート対応をめんどくさがっているだけだったります。
もっと言えば、WordPress本体のアップデートを行わないリスクの説明責任を放棄し、場合によってはそれよって生じる企業の損失の可能性を広げる行為だということも言えるでしょう。
作っている側でWordPress本体のアップデートを行わないことで生じるリスクを知らないはずはないので、いわば確信犯のようなひどいことだと思います。
また、仮に本当に知らないのであれば、それはそれで受託で制作をする側としてのレベルの低さを証明することでもあるので、話になりません。
何にせよ、こんな選択をする会社が依頼者の会社の成長や成功を手助けできる会社であるはずがないと思います。
依頼者のことを知らない・知る気がない
僕が思うに、ホームページを成功できるように運用をサポートする会社というのは、依頼者のサービスをきちんと知っていることが大切で、仮に知らなかったとしても知りたいと思い勉強するものだと思っています。
ですがダメな会社の場合、そもそもその視点が抜け落ちている人が多い気がします。
会社の場合は、その辺をあえて度外視しているというか、考えないようにしろとかいうような会社もあります。
自分達の強みのアピールをすることも大切かとは思いますが(営業的にという意味で)、それよりもきちんとパートナーである依頼者の事業を理解し、成功に導くことこそがパートナーとして選ばれた制作会社のミッションであるはずです。
そんな基本的なことも理解できていない会社はパートナーとは言えないと思います。
知ろうともしないという態度であれば、もはや論外ではないでしょうか。
人の話を聞かない
これは依頼者の事業を知ろうともしないという事と共通する部分がありますが、打ち合わせの席などで、人の話を聞こうともしない・聞いているふりはしているけど聞き流している人というのが一定数います。悲しい話ですが。
そういう感じの人は、たいてい人の話は聞かないけど、自分達のアピールや正当性を訴えるというような押し付けがましい態度をとる人が多く、そういう人とうまく仕事ができるでしょうか?
はっきりいって僕は「それは無理」だと思います。
仮にその制作会社が言っていることが正しいことであったとしても、依頼者の話もきちんと聞いた上でその理由を説明し、納得してもらった上で正しい方向に一緒に向かっていくことが本来あるべき姿ではないかと僕は思うわけです。
で、このケースで厄介だなと思うのは、最初それでうまくいった場合、以降よりいっそう人の話を聞かなくなるというケースが多いことです。
ここまで行くと、もうパートナーというような関係性ではないので、うまくいくはずはありません。
見積りが雑
先日とあるご仕事で、他社の見積もりを見てほしいというお願いをされまして、その見積もりを見てドン引きしました。
具体的には言わないし言えないので詳細はだいぶぼかしますが、見積りの最初から最後まで終始適当で、よくこれをお客さんに出せるなと思うレベルでした。
項目が間違ってたり、宛先が違ってたり、金額の根拠や内容が一切書いてなかったりなど、もし自分がこれを提出していたとしたら恥ずかしくて外を歩けないレベルのひどいものでした。
僕が思うに、見積りっていうのは単純に金額を算出するためのものではなくて、成功するために何が必要なのかを考え、それを元に項目を割り出してそれの費用を考えるものなわけで、最終的なゴールが見えていないと作れないはずだと思うんです。
概算見積もりの場合でも、「おそらくこういうゴールになるはずだ」という仮説のもと、算出するはずですし。
何も意味も理由もなくやるようなものではないはずなので、見積りを適当に作って渡せるような会社ってどうなんやろうと心から思います。
見積りのように、直接相手との交渉になるものをそんなふうに気軽に考え、適当に処理するような会社は明らかに付き合うべき対象ではないですね。
専門用語ばかり使う
打ち合わせなどで、専門用語ばかり使う人っていますよね。
本人はドヤ顔で言ってたりするパターンが多いんですが、これは本当にダメな典型で、依頼者に自分の言っていることを理解してもらおうという意識が欠如しています。
言葉というのはすごく大切で、言葉の選び方次第で自分の意図の伝達率が大きく変わります。
きちんと分かるように、理解してもらえるように言葉を選ぶことは大切で、きちんと理解してもらえる言葉で話すことでより自分の意図が伝わるようにするというのは、運用に限った話ではなくコミュニケーションの基本だと思います。
それすら考えず、「自分はこんなことを知ってる」というような独りよがりな態度を取れる人間って果たしてパートナーと言えるでしょうか。
この時点で相手に寄り添う気がないのは明らかで、一緒にビジネスをしていくのは難しいと考えるべきだと思います。
納品後は自分達には関係ないという態度を取る
この話もつい先日ブログに書いたような気がしますが、制作者の中には「作って終わり」という意識で仕事をしている人というのがけっこうな数います。
それだけであれば、契約内容にもよるので良い悪いという話ではないんですが、問題なのは「自分達で作ったものに対する責任感の有無」です。
確かに納品がゴールという契約の場合、以降の変更や修正などは請けた依頼の範囲で対応することが難しい場合もあると思います。
ただ、その場合でも追加で費用が必要なことを伝え、きちんと見積りを作成してその認識を当事者間で改めればいいだけの話だと思います。
にもかかわらず、「納品したのでそこから先は知りません。他の方に依頼したらどうです?」というような感じで交渉の余地もなく突っぱねるケースがあります。
交渉の余地もなくこういう事を平気で言ってくる会社と信頼してやり取りすることはできないと思います。
外部への委託が孫請け以上になっている
代理店さんが間に入っている仕事などで多いですが、外部会社への委託が複数社に渡っている場合があります。
代理店さんの場合は、自社で制作することができない、そもそも制作をするための人員を配置していないという場合も多々あるので、外部に委託すること自体は悪いことでもないですが、問題はその委託先が更に他社に委託、ひどい場合はそこからさらに外部に委託されているというような状態だと最悪と言っても過言ではないかと思います。
依頼者視点で考えると、代理店さんのマージン、委託先1のマージン、委託先2のマージン、委託先3のマージンといった感じで、本来不要なはずの費用が必要になってくるわけです。
この金額は書面上は表には出ないかも知れませんが、間違いなく費用として含まれています。
これは無駄な費用以外の何物でもないので、費用面から考えても好ましい状況ではありません。
さらにいうと、費用と同等の大きな問題として、「伝言ゲーム」が発生しているということも問題として認識すべきです。
伝言ゲームの発生は、時間的な無駄が発生することもそうですし、伝わる内容が本来伝えたい内容から離れる距離が増え、無駄なやり取りと品質の低下につながるので、極力避けたい問題と考えています。
上記の場合、依頼者はまず代理店さんと話をし、その内容を委託先1の担当者に伝達、委託先2は委託先3に委託先1から聞いた内容を伝え、委託先3は着手します。
伝達事項というのは、人を介していく回数が増えるごとに本来の内容からずれてくるものなので、本来は必要最小限で留めるべきだと僕は考えています。
その考えからすると、外部への委託が孫請け以上になっている状態というのは、不要な費用と時間が発生するという悪い影響が出てくるので好ましくないと考えています。
ゴールを意識せず、デザイン的な話しかしない
制作者の中には「作って終わり」という意識で仕事をしている人がいるということは前述しましたが、こういう意識で仕事をしている制作者は「作っているもの」だけしか見えていない場合ということが多い傾向にあります。
基本的にデザイナーなどの制作者側の人というのは、デザインが好きで、綺麗な見た目のものを作りたいという思いが強い人が多いです。
だからこそデザイナーという職種を選択しているわけですし、デザインに対する思いも強くて当然です。
それ自体はすごくいいことだと僕は思いますし、僕もそういう意識はそこそこ強いほうだとは思います。
ただ、「ホームページを成功させる」という目的がある場合、見た目の部分の良し悪しだけ見ていてはうまくいきません。
ホームページ自体のゴールをきちんと見据えた上で、そのゴールに到達するためのデザインをするべきです。
なので、見た目の部分のことだけしか言ってこない人は、ゴールが見えていない可能性があります。
ゴールが見えていない人と、一緒にいい仕事ができるかと言われれば、答えはNOではないでしょうか。
なので、「この人見た目の話しかせえへんな」と思ったら、「ではこのデザインはゴールにどういう影響があると思いますか?」などと聞くと、その人が見えている景色がわかります。
その場で言葉に詰まったり、少し考える時間がある人などは、ほぼ間違いなく「ゴールのことは考えてなかった」と判断していいと思います。
というのも、きちんとゴールを把握しているのであれば、どんな質問が来ても自分のデザインを説明できるはずですし、それが言えないのであればデザインした際にゴールのことは考えていなかったと判断されても当然です。
同じゴールが目指せない人と一緒に仕事はできると思いますか?僕はそうは思えません。
制作会社を選ぶことに失敗する可能性を考え、制作会社を変えても大丈夫なように保険をかける
選ぶ際のポイントとして、上記のような点がある場合は論外だなと言うことを書きましたが、それでもダメな会社と当たってしまうということは出てくるかと思います。
最初はよさそうだと思ったけど、実際にやってみたらダメだったということもあるはずですので、そういう時に大切な考え方としては、基本的にいい制作会社と当たることは稀なので、ダメだと判断したらすぐに取引を止められるようにできる体制を整えておくことが大切です。
とはいえ、すぐにそういう体制を作ることは難しいかと思います。
その場合は、契約をする際にある程度早い段階で契約更新を行うかどうかを記載するとか、はじまる前に手を打っておくことで被害を最小限に抑えることができるかも知れません。
なので、契約を行うときには、色々なケースを想定して、「仮にダメだった場合にいかに早く、被害を最小限に抑えて契約の打ち切りができるか」という部分を加味して契約書を作るといいと思います。
同じ業界に属するものとして、このような現状は嘆かわしい限りですが、「よい制作会社を選べない確率が高い」というのは事実なので、それをふまえて事前に対策を行っておくことは発注側の自己防衛手段として有効です。
まとめ
書いているうちにけっこう熱くなったので、当初よりも言葉が強めになってしまった感がありますが、けっこう本音で書きました。
というのも、これらの件で困っているお客さんからの相談が本当によくあるからです。
上でも書いてますが、いい会社と当たることっていうのは確率的にけっこう低いと思って間違いないと思います。
とはいえ、いい会社を見つける努力というのは必要なので、選ぶ基準をしっかり持つことは大切です。
いい点を探して会社を選ぶより、ダメな会社のポイントを書いて減点方式で選ぶほうが現実的かなと思いダメな点を列挙しました。
そして、仮にダメでもすぐに契約を打ち切れるように準備しておくことで、被害を最小限に抑えることもできるかと思います。
会社が成功するためのパートナーを選ぶ際の一つの考え方として参考にしていただければ幸いです。