形の見えないものを無料もしくは格安で頼もうとする風潮とかどうしたもんかなと考えた話

Publish2015/07/27(月)

今日は結構前から考えていたことを書こうかなと思います。
それがタイトルにもある、形の見えないものであれば「無料」もしくは「格安」でお願いしても大丈夫だろうという思い込みとかそういう風潮、習慣があまりにもどうしようもないなと思っているんですけど、このまま放置してても良くないと思うので、思っていることを書いておこうということなんです。
結構前からずっとこのことは考えていたんですけど、今日こうやって公開するつもりになったのは、テレビのニュースでオリンピックのスタジアムの件の事を吉本の芸人さん(名前は伏せます)が話題にした時のことが今回のきっかけではあります。

新国立競技場のニュースを聞いていた時のこと

最近巷を騒がせているニュースといえば、東京オリンピックに使う新国立競技場の話題ですよね。
いろいろな切り口でああでもない、こうでもない、あれがダメだこれがダメだと毎日色々言われてますが、僕は今日そのことを書きたいのではないのでその辺の話は割愛します。
今日書きたいなと思ったきっかけは、そもそもデザインコンペで決まったザハさんのギャラが高すぎるんじゃないかという話題になった時にとある芸人さんがこう言ったことです。
「別に海外の人に頼まなくても、日本人のデザイナーでいいと思うんです。これだけ大きなプロジェクトなら実績にもなるし、無料でデザインコンペに応募してくるデザイナーさんだって結構いるんじゃないですか?」というようなことを。
これを聞いてて、目の前が真っ暗になったんですが、やっぱり世間一般では「デザイン」というものに対する価値観というか、敬意を持っていないということがこれでもかと伝わってきたんですよね。
この芸人さんが言いたいことはわからないでもないですが、なぜこういうことを言うんだろうと悲しい気持ちになりました。
僕も海外の人でなくて日本の人でもいいんじゃないかなとは思います。
ただ、コンペなので海外の人じゃなくて日本の人も応募したんじゃないのかとか、その辺のことは調べてからしゃべってるんだろうかと思うことはありますが、言いたいことはそこではないです。
問題は「無料でも実績になるからデザインをするデザイナーくらいいるだろう」という部分です。
これを聞いて、以前あった「天王寺区で無報酬のデザイナーを募集する」話を思いましました。
規模こそ違いますが、この発言はまさにこういう「デザイナーって実績積むためならタダでも仕事くらいするよね」というイメージがあるということなんですよね。
天王寺区のデザイナー募集の件でもあれだけ言われていたことなのに、未だに同じようなことを言っちゃう人がいるというのが軽く絶望的だなと思った理由です。
中にはそういう人もいると思いますが、それってアマチュアや実績がない人の場合だと思うので(実績ある人がわざわざ無料でもいいからと応募するというのは考えにくいですし。)、仮に集まったとしてもこういう大きなプロジェクトでいきなりアマチュアのデザインで進めちゃう方が問題あるんじゃないのと思わなかったんでしょうか。
この辺は公募の条件とか内容を細かく知っているわけではないので判断が難しいですが、いずれにしても結構何も考えずに発言しちゃう危うさはあります。
それとも、デザインなんてそんなに変わらんし、それなら少しでも安い方がいいやんとでも思ったんでしょうか。
いずれにしても、デザイナーという職業がすごく軽んじられているんだなということをどうしても思ってしまいます。

「プロなんだから簡単なんでしょ?ちゃちゃっと適当にやってくれたらいいから」というよくある話

ちょっと話が逸れますが、似たような話でよく聞くエピソードがあります。
それは主に僕たちWebの制作ができる人たちが必ず一度は直面する事態なんですが、知人(一度名刺交換したくらいなだけの関係の人を含む)から「簡単なサイト作りたいから、ちょっと空いた時間にぱぱっと作ってよ。簡単にできるんでしょ?」と言われることです。
僕も実際何度かあって、その都度手を替え品を替え断り続けてきていますが、この辺の相談というか、不躾な依頼というのも根本にあるのはデザインとかサイトとかのような「形の見えないもの」に対する無理解と不勉強の賜物だと思うんです。
ここでいう「形の見えないもの」は、積み上げてきた知識や経験とか、そういう評価のしかたが難しいものを含みます。
でも、そういう部分を推し量って考えることができないから、そういう依頼をしてくるわけなので、なんとかしないとなと思うんです。
ちなみに、ここまで書いたのではっきり書いておきます。
Webサイトを「ぱぱっと」「適当に」作るというお願いがあった場合に、そのお願いを断ることで、「断るということはそのくらいのこともできないんだ」と思われても心外なので書きますが、「ぱぱっと」「適当に」がどの程度のレベルになるのかは個人の感覚で異なると思いますがプロとして仕事をしている人であればできるでしょう。
ただし、そこで勘違いして欲しくないのは「できるのに、なんで断るんだろう」という部分になるかと思います。
僕の場合は率直に言うと「それをすることが誰かのためになることはないから」です。
どういうことかと言いますと、適当にぱぱっと作ってもらったものを、思い入れを持って活用するというのは難しいと思うからです。
このブログでもなんども書いているかと思いますが、サイトは更新していくことで活用されていくものだと思っています。
更新されるということは、そこにある程度の思い入れがないと難しいですし、誰かに適当に作ってもらったものではそのモチベーションは出てこないと思うんですよね。
あと、作るときに何も考えずに作ると思うので、ありきたりなパンフレットのようなサイトができるだけで、そのサイトが「誰のために」「何のために」「どういう目的で」作っているサイトなのかとか、そういう作る上での基礎的なことをすっ飛ばしてしまう可能性もあるので、「誰も幸せにならない」と思うわけです。
あとは一般論として、プロとしてしている仕事に対して手抜きをすることがマイナスにしかならないという部分もあります。
サイトを作って公開するということを仕事にしている人に、適当に作ってもらってそれを公開するという事をしてしまうと、その人の評価自体を下げてしまう事にも繋がりかねません。
「このサイトあの人に作ってもらったんやで」と軽い気持ちで言われたそのサイトが、めっちゃ手抜きでどうしようもないものだったりしたら、その人の信用問題にもなりますよね。
プロである以上、自分が手がけるものに対して手を抜くというのは僕の考えではありえない事なので、そういうお願いのされ方自体が非常に失礼な話だとも思います。
また、「簡単」という部分もこれまでの人生でどれだけサイトに対して時間を使ってきたのか、作る時間、勉強する時間、その事を考えている時間など、それこそ四六時中Webサイトの事を考えている人と、全く何も知らない人が思う「簡単」が違うものである事は間違いありません。
こっちにとっての簡単はそれを実現するための知識や経験、その他その人だからできる実現力があればこそ簡単と言えるわけで、全くその事を知らない人がいう簡単と同じであるはずがありません。
Webサイトを作る人にとっては簡単でも、一般の人が同じように簡単と思えるかどうかといえば難しいでしょう。
他にもいろいろ言いたい事はありますが、攻撃色が強くなりすぎるのでこの辺にしておきます。
なんにせよ、すごく失礼な事であるということです。

解決策を考えてみよう

さて、ここまででけっこう強めに主張をしました。
書いておいていうのもなんですが、ちょっと視点が一方的な部分があります。
どうしても自分が大切にしているものが蔑ろにされるというのは気持ちのいいものではありませんので。
とはいえ、自分の主張だけ書いて終わりというのも一方的すぎてよくないともうので、ではどういう形であればこれらの問題は解決するんだろいう事も考えてみようと思います。

定期的に問題定義して考え方を一般の人にも広げないと。

僕が一番大切だなと思うこの手の問題の解決方法は、定期的にこういう話題を議論する事だと思っています。
そもそも「失礼な相談だ」とデザイナーが思う以前に、「それがなぜ失礼なのか?」がわからない人にそれが失礼であるという事が認識できているかと言えばそうでもないと思いますし。
こういう話がある事をきっかけに、議論を重ねていく事でより多くの人に共通の認識が芽生えてくると言う事もあると思います。
定期的にコツコツと。長期的な視点で問題に取り組む事は大切だと思います。
「相手が知らない」事を理解した上で、「知ってもらう努力を続けていく事」何大切だというのは色々な業界でも通じる話だと思います。

自分の仕事でそう言われたらどう思いますか?と言う。

あとは、当事者意識の有無も関係していると思うので、「でも自分の仕事に置き換えてこういう事言われたらどう思いますか?」と聞き返してみるのも気付いてくれるための一つの方法ではないでしょうか。
例えば、飲食店で働いている人の場合であれば、「この料理簡単につくれるんでしょ?簡単にできるんだからただにしてよ」と言われたら「お前は何を言っているんだ?」という状態になると思います。
この場合は、料理を作るために用意した材料の事や店舗を開いているテナント代、従業員がいる場合は人件費、料理の腕を磨くために日々重ねてきた経験や実績など、形に見えるものやそうでないものを含めて色々な事が軽視されている事がわかると思います。
このお願いを聞いて、誰がその人にただで料理を作るんでしょうか。
自分から「ただでいいから来て欲しい」という事であればともかく、それを要求されるいわれも筋合いもないですね。
そういう風に考える事ができたら、そのお願いがいかに失礼でありえない事であるのかという事を理解できると思います。

最終的には思いやりと想像力

これまで色々と厳しい事を書いてきましたが、僕が思うにこういう問題の根本的な原因は他者に対する思いやりの欠如や想像力の欠如が原因だと思うんです。
相手の事を尊重して、その配慮をしているのであれば失言する事もないでしょうし、自分にはわからない世界の事であっても想像力を働かせれば「おそらくこういう事が大変なんだろう」という事は細かくはできなくてもざっくりはイメージできると思うんです。
こういう失礼なお願いをする人は基本的にその辺が足りてないんじゃないかなと思うので、そこが改善されたらこういう事を話題にする必要もなくなると思うんですよね。
難しいとは思いますが、そのためにも普段から思いやりと配慮を持って生きていく人が増えてくれたらいいなと思ってこの記事を締めくくりたいと思います。

記事の著者:ふにすでぐち

ふにすでぐち

1978年生まれ。企業のWeb活用をテーマに、Web運用を中心とした戦略的な企画立案、サポートやホームページ/Webサイトの構築などを行っています。
5年間のWeb制作会社勤務後、2年間のフリーランスで「フニス」として活動後に法人化し、2012年7月「ふにす株式会社」を設立。
Web運用の情報や考え方などを発信するブログ「ふにろぐ」を定期的に更新し、情報配信をしています。
また、Googleアナリティクス認定資格を取得しているので、アクセス解析を用いた分析などの手法でお客様のホームページの成功をサポートしています。
本社のある大阪府高槻市で「ふにすWeb相談所」を開設し、
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