ライバックさんの活躍と「すべてのジャンルはマニアが潰す」という言葉についての所感
Publish2015/08/19(水)
8月はひたすら過去記事の書き直しばかりをしていたのですが、ちょっと飽きてきたので気分転換に新しい記事を追加したいなと思っていました。
そんな時、ふとWWEを見ていて、ライバックさんが再びプッシュされている様子を見て考えることがあったので書いてみます。
ライバックとは?
この記事の本筋とは関係ないですが、一応ライバックさんのことも書いておきます。
この前提がないと意味がわからなくなってきますので。
ライバックさんはWWEに所属するプロレスラーで、フィニッシュは「シェルショック」っていうアルゼンチンバックブリーカーの体制から体をマットに叩き付けるサモアンドロップの変形型です。
この技を使っていることからもわかるように、ライバックさんはパワーで押していくタイプのレスラーです。
さて、そんなパワー系のライバックさんは、デビュー時に結構なプッシュを受けて出てきたんですが、いまいち人気が出ず、ちょうどその当時プッシュされて人気が出てきてたシールドの面々にボコボコにされる役という感じになってしまってました。
今やシールドはセス・ロリンズがWWE王者ですし、レインズは去年のレッスルマニアのメインですし、アンブローズさんもカルト的な人気がある感じで全員大成功してます。
この成功の陰にライバックさんがいたと思うと色々と込み上げるものがありますね。
ちょっと話がそれましたが、ようはライバックさんは一回受けたプッシュを上手くこなすことができなかったんです。
日本だとそこで終わりだったりするのですが、WWEはアメリカなので再チャンスが上手く用意されています。
ライバックさんの場合は、ヒールターンして上手くいかなかったのでベビーターンしてました。
そこから、地道に活躍をアピールし、IC王座をとるに至りました。
IC王座はWWEの中で次のWWE王座へ挑戦するステップのような感じで、キャリアを重ねていく上で非常に重要なタイトルです。
過去には、ストーンコールドやロックといった超大物レスラーも、ブレイクする前にはIC王座を獲得しています。
そのくらい重要な役割をライバックさんは手に入れたということです。
しょっぱいレスラーが王座をとるということの意味
ライバックさんがIC王座をとったということを知った時、僕は「ついにライバックさんに人気ができてきたな」と嬉しくなってきたんですが、同時にプロレスファンとしてみると「ライバックさんで大丈夫かな?」という心配もありました。
というのも、パワー系レスラーは総じてファンでいうところの「しょっぱい」レスラーであることが多く、ライバックさんももれなくその中の一人で、その路線ど真ん中だからです。
プロレスファンは多くの試合を見てきた経験から、技巧派レスラーが好きな事が多かったりします。
魅了されるような華麗な技しかり、熟練の技術を持ったレスラーしかり、技のキレや試合の流れのコントロールなどを見ていたりするので、力任せにする技があまり好きではない傾向にあります。
ちょっと話をそらしますが、僕の好きな尊敬するレスラー「ネイチャーボーイ」ことリック・フレアーは「ほうきと試合ができる男」と呼ばれています。
それは相手が動かないほうきであっても、ネイチであれば試合を組み立てることができるという比喩表現ですが、そのくらいレスリングがうまいという例えです。
そんなエピソードが出るくらい「レスリングがうまいかどうか」はファンにとって重要な要素です。
話を戻します。
ライバックさんはそう考えると、「しょっぱいレスラー」で、そのしょっぱいレスラーが王座をとって大丈夫?と心配になるんです。
というようなことを考えていた時に、ふとブシロードの社長が言った名言「すべてのジャンルはマニアが潰す」を思い出したんです。
新規顧客と既存顧客の求めるものの違い
この「すべてのジャンルはマニアが潰す」という発言は、人気が低迷していた新日本プロレスを復活させたエピソードを紹介する時に語られた言葉で、いろいろな事象の心理を突いている言葉だなと思っていました。
話をライバックさんに戻すと、ライバックさんは確かにプロレスファン好みの「技巧派」ではありません。
しかし、今のライバックさんの人気を支えているファン層を考えると、圧倒的なパワーが好きなプロレス初心者や子供などがメインのファン層になるんじゃないでしょうか。
マニアと言われるようなコアなファンは、プロレスの場合でも「これはこうあるべきだ」という考えが強い場合も多く、新規のファンを結果的に排斥するような排他的な一面があります。
でも、この「すべてのジャンルはマニアが潰す」の言葉からも言えるように、その業界が育って人気を得ていく上で必要なのはコアなファンだけではなく、これからファンになる人たち、今からみはじめた人たちです。
新しい人が入ってこないと、その業界は衰退期に入るだけです。
あと、このライバックさんの話と似ていますが、ジョンシナの人気の構図もこれがすごく当てはまります。
ジョンシナは言わずと知れたWWEの顔とも言える大物レスラーですが、レスリングはすごくうまいという事はありません。
どっちかというとしょっぱい方のレスラーです。
ですが、シナを応援する初心者っぽいファンや子供達からのヒーロー的な人気を考えれば、シナをプッシュしない理由も特にありません。
何が言いたいかというと、プロレスのコアなファンが求めているニーズが全てではないという事です。
それぞれの立場で求めているものは違うので、より業界の事を考えるのであれば一方の意見だけではなく、より広い視点で業界全体を見る視点が必要だという事です。
これはビジネスの考え方にも共通していると思うんですが、拡大を続けようということであれば既存顧客だけではダメで、新規の顧客を増やしていく活動をしなければいけないということです。
そして、そのために必要な切り口は既存顧客のニーズではなく、新規顧客のニーズがなんなのかを把握して、それを前に出していくことが重要です。
その違いを考えることが、ビジネス上の拡大をしていく上でのヒントになると思います。
何が必要とされているのかをプロレスを通して「見る」
このように、ライバックさんの活躍を見ていただけでも、これから先に販路を拡大する場合、どこを見て何をしたらいいのかということのヒントにつながりました。
ただプロレスを見ていただけなんですけど、プロレスで見たことがどういう意味がるのかを考えると、けっこう実生活で必要だったり重要だったりする事につながります。
これは偶然ではなくて、プロレスが「人の心を動かす」事が理由です。
ビジネスにしてもプロレスにしても、成功したかどうかを測る上で必要なのは「どれだけ人の心を動かす事ができたか?」です。
人が人と関わりあって生きていく今の社会の構造を考えれば、それがどれだけ重要な事なのかはもはや説明する必要もないくらい重要です。
「プロレス」という、人の心を動かす例を見る事で、これまで考えていなかった事や気づかなかった事に出会えるかもしれません。
今回はプロレスから考えましたが、これは自分が思う「心を動かされる」出来事であればなんでも応用できると思います。
世の中に転がっているこういうヒントを見逃さずとらえていけるような感じでこれからも頑張っていこう。
そう思える話でした。