Webの運用経験の差と競合サイトへの優位性について
Publish2020/04/06(月)
今回は【動画配信版】第40回リクリセミナー「Webデザイントレンド in 大阪 2020」を見ていて感じたことを書き残しておきたいと思います。
今回書く内容としては、Webデザイントレンドの自治体編で深沢さんが言っていたコメント「運用経験の有無で自治体サイトに格差が生まれているように思う(要約なのでこの通りではないかもしれない)」について思ったこと。
というのも、個人的にこの意見には非常に共感できる部分が多く、かつ運用サポートをメインとしている僕にしてみても考察しなければいけないテーマではあるので、そのへんを改めて考える意味でもいい機会だなと思ったというところも大きいので、僕なりの意見として書きたいと思います。
やっている人とやってない人に生まれる格差
今回の動画版セミナーの自治体サイト編では、独自の取り組みや自治体サイトのトレンドを追っていたわけですが、その中のサイトにも確かに「よくわかってやっているな」と思えるサイトがいくつかありました。
そしてその内容というのは、たぶん運用経験から導き出された結果なんだろうなと思える部分もありました。
運用経験がなければこういう発想には普通ならないというのがその理由で、もしかしたらなんのヒントもなしにそこにたどり着ける人はいるかも知れませんが、普通に考えると積み重ねた経験からその結果に行き着くと考えるほうが自然だと思ったんです。
そう考えると、運用経験をきちんと積んだ「やっている人」と、これまで運用経験を積んでいない「やってない人」では知識量や経験量に大きな差があり、格差が存在しているということになると思うわけです。
経験により格差が存在しているということはある意味仕方ないことなのかもしれませんが、格差があるということはこれからはじめる人にとっては大きなアドバンテージになるわけなので、格差のない状態でスタートできるためにはどうすればいいのかを考えなくてはいけないと思います。
運用経験の体感を得ることで成果が出やすくなる
ホームページやWebサイトを運用する目的というのは、運用によって結果を出す(お問い合わせを増やす、打ち上げを上げる、認知を広げるなど)ためにしているわけで、その成果の数や効率、成功確率を上げる要素が運用経験によるものであるとするのであれば、運用経験を積むということは、成功する確率を上げることとイコールであると考えることもできます。
成果を上げやすくするための施策やアイデアは、人によってはなんの努力もなく得られる場合もありますが、そうではなく地道な運用経験を積むことで確実に成果が上がってくるということであれば、運用経験を積まないという選択肢はないと思います。
そして、僕がこれまで見てきたお客さんでも、成果を出している会社は例外なく運用経験から得られる経験によって、「これだ」と思える施策を行って確実に結果を出せていました。
あくまで僕の観測範囲なので絶対数も少ないですし、統計的な裏付けがあるわけでもないですが、個人的な体感としては上記の仮説はほぼ間違いない事実であると確信しています。
人事異動とノウハウの流出
さて、運用経験が結果を出すために重要な要素であるということはたぶん間違いのない事実だと確信していますが、企業や団体でその要素が潰されるタイミングがあります。
それは人事異動です。
多くの会社や団体の場合、同じ人が永久に同じポジションにいるということはまずありえないので、一定期間がすぎると知識や経験を持った人が別部署に異動する事が起こります。
この記事を公開している4月といえば、まさに人事異動のタイミングです。
人事異動の場合、後任に全てを引き継ぐことができれば問題はないんですが、実際のところ個人に蓄積された経験やノウハウを簡単に他人が手に入れることはできません。
ある程度の知見や経験の記録を教えることはできますが、実体験として経験しないと腹落ちしないことも世の中には多いので、人事異動で失われたノウハウを同じレベルにまで持っていくためにはそれなりの期間が必要です。
場合によっては、後任の知識がようやく前任のそれに近いレベルになったと思っていたのに、そのタイミングでまた人事異動というようなこともよく聞きますし周りでも耳にする機会も多いです。
企業や団体での人事異動の意味があることも理解しているので、人事異動が全て悪いとも思ってはいませんが、Webの運用経験という意味だけで考えると人事異動がWeb運用に与える影響は極めて大きいといえます。
人事異動以外にも、前任者の退職などによって担当者が変わる場合もありますので、担当者の知識に依存しない運用形態を考える必要がありますし、異動する・担当者が変わっていくことを前提として運用を行っていく必要があると思っています。
外部にアウトソーシングするメリットとデメリット
担当者変更の影響を極力少なくする方法は色々ありますが、個人的には外部パートナーと連携して運用していくことが一つの正解だと思っています。
今僕がしている仕事の仕方がそうなので特に思うわけですが、インハウスで全てを賄おうとするのではなく、一部の機能を外部に持たせることで、担当者変更の影響を少なくすることは可能です。
仮に担当者が移動しても、外部パートナーはこれまでの施策や結果などのノウハウを持っているので、新しい担当者に引き継ぎを行うことができるため、学習スピードが格段にアップします。
学習スピードのアップは運用の安定化をより早い段階で実現するために大切な要素なので、担当者変更によるリスクを最小化するためにも必要であると思います。
また、外部パートナーの存在により、「誰もこれまでの施策や結果を知らない」という状況を防ぐこともできますし、外部であるがゆえに人事異動も基本的にはないので、安定したWeb運用を行う事もできるようになります。
外部パートナーには専門知識もあるので、試行錯誤する際の手順もかなり省くこともでき、よく早く成功する事もできるようになると思います。
あまり書きすぎると営業みたいに思われるのですが、実際にそうだと思っていますし、結果も出ているのでこれは大きく間違っていないと確信しています。
メリットばかり書くと不公平なのでデメリットも書きますが、デメリットとしては社内の人間ではないのでスピード感が失われるとか、コンプライアンスに関わる部分は委託できないとかの業務内容によっては社内で賄うほかない内容のものもあるという点は忘れてはいけないと思います。
メリットとデメリットを洗い出した上で、メリットのほうが上回るということであれば外部パートナーとの連携をおすすめします。
さいごに
Webの運用経験のような「形に見えない、残らないもの」を評価することは難しいことだと思います。
しかし、企業や団体が「なんのために」Webを活用するのかを考えると、その目的を達成するために必要な要素として運用経験の有無は確実に大きな要素であると断言できます。
だからこそ、運用経験を内部に蓄積していくための仕組みづくりは重要です。
人事異動が多い会社や団体の場合は特にそうだと思いますので、今後も継続して結果を残していきたいのであれば、運用経験が蓄積していく体制構築を考えるというのが大切だと思います。