クラウドソーシングの影響で単価が下がると考えている制作者の皆さんへ
Publish2014/10/08(水)
今日はちょっとした問題提起です。
この前同業の知人と話していて「クラウドソーシングの影響で単価が下がってしまうかも…」という話題になったんですけど、どうも危機感を持つところが違っている人が多いんじゃないかなと思ったので、その事について書きます。
結論から言うと僕は全く影響がないというか、逆に差別化できていいんじゃないかとすら思っています。
また前提書き忘れそうになったので書いておきます。
今回の話の前提は「受託業務をする立場の人」向けの話です。
クラウドソーシングで自分の単価が下がる?
まず、僕も制作をしているので、自分がやっている業務の単価が下がるのはとても嫌です。
単純に自分の価値が下がっていると見なす事もできるわけで、ある程度プライドを持ちながらやっている人であれば誰もが自分が値踏みされる状況をいい状況だと思う人はいないでしょう。
以前少し人気になった「友達価格での対応はしていませんし、するつもりもありません。」の記事にも通じる部分ではあるかと思います。
この辺は主に主観的な話なので、少しおいておきます。
感情を入れて話してしまうと話がこんがらがるので、感情は置いといて考えてみます。
まず、なぜ「クラウドソーシングの影響で自分の単価が下がる」と考えるのか。
これは単純に「クラウドソーシングのような安く外注できるところがあれば、自分もその水準に合わせないと受注できないから単価を下げざるをえない」という考えから来ているかと思うんです。
自分視点ではなくクライアント視点で考える
この考えの根拠としては「お客さんは安い方がいいからそっちに発注する」という事が根底にあると思います。
市場の事を考えれば、安い方がうれしいという事は当然ですし、発注する人は安い方に発注するでしょう。
ただし、ここで考えないといけないのは「発注側の意図」です。
発注者がなぜクラウドソーシングで発注をかけるのかを考えてみましょう。
答えは簡単で、「値段が安くて済めばいいような代用のきく業務を委託したいから」で、そのために「値段は安ければそれにこした事はない」と思っているから、つまり判断基準が「金額」になっているからですね。
この場合、外注先となる制作者は当然ですが「金額」をベースとして受注を獲得する形になります。
であれば、少しでも安いという事が武器になり、単価を下げて対応するという事になるわけです。
でも、そもそもの話を考えてみましょう。
発注先が金額でしか制作者側を見ていないのだとしたら、発注先からしたら制作者は「だれでもいい」わけです。
値段で決めるので当然ですね。
価格を基準にしている人相手に自分のスキルや強みをアピールしてもたいして意味はありません。
求められている事とアピールしている事がずれているわけで、話にならないわけです。
自分が戦うフィールドはどこで相手は誰なのかをもう一度考えてみよう
なので、ここでいったん自分は誰にどんな価値を提供し、その対価を得るのかを考え直しましょう。
最初に僕がクラウドソーシングの影響がないと言い切ったのも、僕自身がクラウドソーシングで仕事をとろうと考えてないからです。
一応どんなもんかなとアカウントはとりましたけど、本気でここから仕事を得ようなどとは考えてません。
なので影響がないという事になるわけです。
自分が売りたい価値を求めている人がいない場所でどれだけ声を大きくしても誰も見向きもしませんので、そういう無駄な事をする時間があるのであれば、自分が提供したい価値を求めている人に向けてアピールした方がいいですし、自分の武器を磨く事や勉強をした方が有意義です。
その場合は、相手が求めている価値とこっちが提供したい価値が同じ方向になるので、価格で選ぶのではなく実績やスキルなどの違う基準で勝負できます。
ようは、最初に自分は誰にどういう価値が提供できるのか、そのフィールドはどこにあって、そこにいる誰に対してアピールするかが大切という事です。
最初に言った差別化できていいという部分は、値段ベースで考える人向けの人には値段ベースで対応する人が対応すればいいし、そうじゃない人はそうじゃない人と仕事をすればいいだけなので、そういう意味で差別化できるという事です。
何回も書いてますけど、そもそもの勝負しているフィールドが違うので、同じポジションでする話ではないという事です。
自分がその値段ベースで対応するところで戦うというのであれば、それは受け入れるしかないと思いますし、それが嫌なのであれば戦うフィールドを変えればいいだけだと思います。
クラウドソーシングはそういう意味で、誰にでもできるオペレーター的な仕事と誰にでもできるわけではない専門的な仕事を切り分けてくれる形態だなとは思っています。
クラウドソーシング自体が悪いわけではないので、不満がある人はもう一度自分のスタンスを考え直してみてはどうですか。