Webアクセシビリティの学校 in 大阪に参加してきました。
Publish2015/09/03(木)
2015年9月2日に中央会計セミナールームで行われたWebアクセシビリティの学校 in 大阪に参加してきました。
参加してみていろいろ思うところがあったので、いつものようにブログに残しておきます。
なお、この記事は僕の主観によるものという事と、セミナー自体の細かい内容について書くわけではありませんのでその点はあらかじめご了承ください。
あと、ここに書いてある内容はすごく初歩的なものです。
全くわからないという人でもわかるように気をつけて書いてみます。
現在のWebサイトを取り巻く環境について
このセミナーに参加したからそう思ったという事でもないんですが、冒頭で紹介されてたこの動画がわかりやすいなと思ったので記事にも埋めておきます。
まずはこの動画を見ましょう。
動画の提供元がYahooなので、掲載されているデータはある程度信頼のおける情報かと思います。
以前からこのブログでも書いてますし、他のいろいろなところで言及されていますが、今は「マルチスクリーン」の時代です。
一人で複数台の端末を使用したり、PCがメインではなくスマートフォンがメインになっている状況はこの動画からでもわかります。
この「マルチスクリーン」の時代では、PCがメインだった時代のように見た目の表現よりも「まず情報が正しく認識できるかどうか」という事が重要です。
マルチスクリーンということはいろいろなサイズの画面や、いろいろなデバイスで閲覧するということなので、一定のサイズの画面だけを意識していればいいわけではないので、その点を考えれば当然ですよね。
そして、ユーザーがWebサイトに訪れる目的は斬新な演出を見たいからではなく、必要としている情報を探しているためであると考えれば優先させる内容は見た目やデザインも重要ですが、まずは「まず情報が正しく認識できるかどうか」という部分がベースになります。
この「まず情報が正しく認識できるかどうか」を実現するために、重要なポジションにあるのが「Webアクセシビリティ」です。
そして、「Webアクセシビリティ」は以前「高齢者や障害者の方が十分に情報を取得できるためのもの」という概念でしたが、現在では「すべての人がいろいろな環境で情報が正しく認識するためのもの」という位置付けに変わっています。
「Webアクセシビリティ」をする目的は、すべての人の利便性を向上するためのものであると考えると、その必要性が理解できるかと思います。
できるところから始める。100点を目指さない
今回のセミナーの後半で講師の植木さんがおっしゃられた言葉が印象的でした。
それは「できるところから始める。100点を目指さない」という内容の言葉でした。
仮に100点になっても完全なアクセシビリティが担保されたサイトというわけではないので、100点を目指すというような高い目標設定をするよりも、10点でもいいからより多くの人がWebアクセシビリティを意識してサイトを作ったり運用したりする事が大切だという意味で僕はとらえました。
今回のセミナーのコンセプトであるとも思いますが、「Webアクセシビリティ=難しいもの」という先入観があるかと思います。
聞いた事がない人であればなんだか難しそうだなと思うのも気持ちは理解できます。
こういう会をきっかけに、Webアクセシビリティは決して難しい事ではないという事を多くの人が知る事が大切だなと思いましたので、僕もこうして記事を書いているわけです。
多くを求めなくてもいいので、まずはできるところから対応していく姿勢が大切なのではないでしょうか。
Webアクセシビリティは決して難しい事ではない
では実際に何をすればいいのかという事ですが、基本的には「サイトをマシンリーダブル」にするという事を念頭におくといいと思います。
マシンリーダブルというのが何かというと、簡単に言うと「コンピューターがサイトの内容を理解できるようにする」ということです。
サイトを構成するHTMLをルールに沿った正しい形で記述することや、内容をコンピューターも確認するものということを意識したサイトの作りにすることで実現ができます。
これは作る側の問題ではありますが、Webを運用する上で自分のサイトは現状どうなっているんだろうと考えることは大切だと思います。
マシンリーダブルについて、詳しくはこちらの記事を読みましょう。
素人とは違う、Webプロフェッショナルの仕事としてのWebコンテンツ開発を考えてみた
マシンリーダブルにする対応を行うことで、正しく情報が読み上げられたり、検索エンジンがデータを認識するなど、サイトにとって悪くなることはありません。
初歩的な内容で言えば画像の代替文字列の「alt」を正しく設定するだけでも、多くの人にとってプラスになります。
セミナー中におっしゃられていましたが、「見た目から伝わる情報」を正しくマークアップすることがとても重要という部分はすごく共感できますし、僕も普段から意識している部分ではあります。
いろいろな人が利用することをあらかじめ想定し、これから行う更新の内容が「だれでも」情報を受け取ることができるかどうかを考えると、最初の一歩である「できるところから始めよう」に直結してくると思います。
まずはやってみるということから始めて、サイトを作る人も運用する人もみんなが楽しくWebを活用する時代になるといいなと思っています。
まずはこの辺からでもしていくといいのでは?
今回のお話の中で話されてたのはかなり基本的な部分でしたが、いわゆる「当たり前のことを当たり前にする」というのがポイントでした。
中でも比較的手軽に取り組めるものを抜粋してみます。
- title要素にそのページの内容がわかるようにページタイトルを設定する
- 文書構造を意識してhタグを配置する
- リンクテキストにはリンク先のページの内容がわかるように設定する
- 画像にはaltでその画像がどういうものかを記載する
- 画面のコントラスト比を意識する。理想は4.5:1以上
- エラーメッセージが「どこで」「何が」「どのように」問題になっているかを記載し、「どうすれば」いいのかを明記する
簡単に取り入れられそうな部分のみを抜粋しましたが、見ていただいてわかるようにそんなに難しいことではないですし、とても基本的な内容でもあります。
「まずはできるところから始める」という意味でも、このへんくらいから始めていくことが大切だと思います。
余談。植木さんのセミナーは心配りがすごかった
このように、概念的なお話も実践的なお話もあってセミナーは非常に満足度の高い内容でした。
と同時に、僕がすごいなと思ったのは講師の植木さんの心配りでした。
Webアクセシビリティは難しいものではなく、今やっていることに少し足せばできていくことというのがわかってはいても、なかなかできませんし、下手すると次の日になると内容を忘れてしまっていることもあります。
そういう部分をプロレスネタや奥さんを交えた面白い動画などでわかりやすくアプローチしていく姿はとても勉強になりました。「楽しんで取り組もう」という思いがこっちにも伝わってくるすばらしいセッションだったと思います。
今までいろいろとセミナーは見てきましたが、植木さんのようなエンターテイメント性の高い内容はいつ見ても楽しいです。
同時に、アクセシビリティに対して敷居の高さを感じている人がいた場合、「このくらいなら自分でもできそう」という思いも湧いてくるような内容だったと思います。
イベントを主催する立場として、セミナーで伝えたいことが一貫していましたし、とても勉強になりました。
真似してできるものではありませんが、次回どこかでお話をすることがあればその点を踏まえて考えてみようと思いました。
新しい技術を知ったかというとそういうわけではありませんでしたが、参加したことで考えかたの部分も改めて考えてみたりしたので、非常にいいきっかけだったと思います。